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男女平等地獄絵図

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秘密


判決はほとんど直感だ。
私が質問をする。
相手が答える。
人間や動物は(驚くことに動物も口をきいた。…というよりも、心の声かも知れない。少なくとも私に理解出来たことは確かだ。)閻魔相手に嘘をつくことは出来ない。
しかし私は閻魔(仮)である。
ごくたまに私の「魔力」じゃ通用しないつわものが現れる。
そんなときのために、ヤマは私についていた。
…スルメをかじりながら。


「ヤマ」

「なんだー」

「スルメ臭い。…はい、次のかたどうぞ」

「そんなことより椿働きすぎだぞー?そういうのはためといて300匹くらい一気に片付ければいいのだよ」

ヤマは人間も動物として匹で数える。
私はそんなところを結構尊敬していた。

…けれどもそれとこれとは別である。


「何言ってんだ!ヤマは瞬時に罪状がわかっちゃうから出来るんだろ!私はそんな力ない。地道にやんなきゃおっつかないんだ。…君は罪を犯したか?」

「はい。」

「どんな罪だ?」

「虫を殺しました。生物を食べました。それから…」

私はフムフムと話を聞く。
このくらいの罪なら許されちゃうのが地獄だ。
ただでさえ罪人がぎゅうぎゅうだからあんまり地獄におとしたくないらしい。
鬼たちはなんとかして極楽逝きを増やそうとしている、なんだか変な状況なのだ。
私は頭を掻いて「はいっ右の通路に向かって担当の鬼の指示にしたがってー」と判決を下した。
ヤマはストレッチ体操などをしながらDSをやり始めていた。

「ヤマどうしよう、ヤマがとっても目障りだ。」

「よいよい。」

何にもよくないのにヤマはにやにやと笑っている。
私は溜め息をついた。

「さってそろそろ休憩するか。」

私はヤマは放っておき、椅子をぴょんと降りると閻魔の部屋へ向かった。もうかなり慣れてきたらしく、迷わずに部屋につくことが出来た。


「…」


ごろんと畳に寝転がる。
よく見慣れた天井。
私は考えた。
奏のことじゃない。
…ヤマだ。

だって、だってやっぱりおかしいと思う。
男に変装する理由がわからない。
ここは男子禁制の、ある意味では花園だもの。
逆ならまだしもメリットがないじゃないか。

(…)

あれか?
男装して極楽でスパイ活動をしていたとかか?
…これはありうるぞ。
私たちが穴に落っこちたから犯人を追っていたのかもしれない。

犯人と言えば…





…そこでふと意識を失った。
どうやら眠くなってきたらしい。
誰かが遠くで何か言った。
けれど私は上手く聞き取れなかった。


作品名:男女平等地獄絵図 作家名:川口暁