男女平等地獄絵図
「やっヤマ…」
偽奏は俄かに動揺した表情になる。
私への態度とえらい違いだ。
ヤマはYシャツのキュウリ模様をテカらせながらもそれさえを補うほどの圧倒的なパワーを放っていた。
(…)
…なのに、何でだろう?
彼女には妙な違和感があった。
ヤマが何だかヤマじゃないみたいだ。
いや、ヤマ何だけど。
…奏みたく偽物、ってわけではないことはわかる。
ヤマに化けることが出来るほどの者が存在するなんてとてもじゃないけど想像出来ない。
だってヤマは「圧倒的」すぎるんだもの。
(…じゃあなんで変なんだろう?気のせいかな…)
何だかよくわからない。
私は諦めてもう一度偽奏を見た。
すると彼はもう奏ではなかった。
そこにいたのは…
「…お前…!こないだの猫男!」
そう、やつは猫男だったのだ。
猫男(※みんなはもう忘れたかもしれないが代替わりの儀で司会をしていたあの猫っぽい顔の男である。ちなみに猫っぽい顔であって猫ではない。)はハァ?と言いながら私を睨んだ。
「なんだよ猫男って。バカじゃないの?」
「だだだだってだってなんかそんな感じ何だもん!!ってかそこ!ヤマ!何で爆笑してんだ!」
「アハハハ!猫!猫!アーハハハハッ」
ヤマは腹を抱えて笑い転げていた。
何なんだもう!
「うむ!確かにまさしくそっくりだな。くくくっ…やはり椿は最高だな。」
ヤマはにやっと私を見た。
「…」
「む?どうした椿」
ヤマがきょとんとする。
私は自分にも違和感を感じる。
なんかへんだ。
「お、猫男が逃げたぞ椿。」
「ふーん。…え?!」
嘘だろ?!
…と振りかえるも時既に遅し猫男は消えていた。
「なっ何やってるんだヤマ!気付いてたなら早く言ってくれよ!」
「はははすまんすまん。追い掛けようか?」
「もういいよ…いないし…」
私はすっかり疲れはてぺたりと座りこんだ。
それを見たヤマは手を広げて笑った。
「おいで、椿。帰ろう?」
「…」
あぁ
泣きそうなくらい嬉しいのに
私はヤマにとび付きたくなかった
「…いい。歩いてく。」
「えぇっ?!何でだ!!」
「閻魔だから。」
だって私今ほぼ裸だもの。
ヤマは女なのにね。
なのに、何だか嫌なんだ。
…どうかしている。