男女平等地獄絵図
「ッゲホゲホ…」
我ながら美しくみぞおちにきまった。
思わずガッツポーズをとる。
「…てんめぇ…ゲホッ」
もう怖いものなしになっていた私はファイティングポーズをとった。
「思い知ったか閻魔のばか力!」
ケーケケと笑いながら見やると偽奏は血をペッと吐き私をにらみつけていた。
どうやらほっぺも切ったらしい。
「普通好きな男本気で蹴るか?」
「お前は私の好きな男じゃない。私が好きなのは…」
…好きなのは…?
「…」
「いいけど椿ちゃん」
「へ?」
「おっぱい丸見えだよ」
「!!!」
ぎゃあーと怯んだのが悪かった。
あぁナイフがとんでくる。
もうだめだ。
ナイフって死後にささったらどうなんだっけ。
確か水翁は傷だけはつくれるって言ってた気がする。
それじゃあもう閻魔失格じゃないか。
私は悲しくて悔しくて目をつむった。
グッバイわずかな閻魔生活
「…男は皆憎からずおっぱいを思っているものだ。」
突如、アホらしい格言が響いた。
アホらしくも最高に頼もしい。
「だからと言ってはっきり言ってしまっては仕方ない。それはおっぱいへの敗北を認めた様なものだ。男は男らしく気付かぬフリをするのだな。そしてこっそり見るのだな。それが最高の敬意なのだよ!」
あぁ…。
こいつ、バカだ。
投げられたナイフは大きくて白い掌の直前で浮いていた。
それから突然粉砕し、さらさらと砂の様になった。
「…ヤマ、遅い。」
「ハハハ!すまん」
ヤマは朗らかに笑った。