男女平等地獄絵図
「阿弥…陀?」
阿弥陀と言えば…神様のことか?
名前は知ってるけど正直なところなんのイメージもわかない。
中学の頃修学旅行で行った寺にいたっけか?
あれ、それとも全然関係ないのか?
ヤマは私の曖昧な表情を見て疲れた顔で笑う。
やっぱりこんな顔のヤマは初めて見た。
「ううむ…。奴に…うむ。奴に会えばな…一発なのだ。…うむ。」
ヤマはそう絞りだすと今度は黙りこくった。
私はどうすればいいかわからずにうろたえる。
一体全体どうしたんだ?
…そんなに恐ろしい人なのか?
「うわぁぁーーーっ!!!」
「なっなにごとだ?!」
ヤマは突然叫び、きらびやかな衣装を引き裂いた。
ぎょっとした私は思わず後図さる。
なんなんだこの状況は!
誰か本当に助けてくれ!
「もう苛々するのだ!!」
ついにはぽいぽいと着物を脱ぎ散らかしてあられもない格好で頭を掻きむしりだしてしまった。
「なっ何事…?」
「我慢ならんこの着物!私はもっとこうペニャリとしてむっちょりとした服のが好きなのだ!!」
「…」
…どうやら根っからのダサ好き元閻魔はこの着物が気に入らなかったらしい。
すっ裸になったかと思うと(恐ろしくスタイルがよかったので同じ女として私は切なくなっていた)いつのまにか新たな衣装を着始めていた。
「ヤマ…なんでそのYシャツはキュウリの模様なんだ…?」
「ちちちっ只のキュウリと思ってはいけないぞ。これはな、浅漬けなのだ椿よ。」
ヤマは誇らしげに鼻を鳴らす。
私は無償に虚しくなって頭を振っていた。
おまけにその生地は鮮やかなレモンイエローなのだ。
「…さて。戦闘服も着たのだ。行くかな。…うむ。行くぞ、椿。」
すくっと立ち上がったヤマは忌々しそうな表情で天井を見上げていた。
…やっぱり、なんだかおかしいぞ。