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男女平等地獄絵図

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「なななな何故?!やっ八藤さんが一人二人??」

私は横と前の八藤をきょときょと見比べる。
八藤?も八藤?も二人とも上品に微笑みあう。

隣の八藤?が口を開いた。

「驚きました?うちら双子なんです。よう見て、ほら着物の模様が違うやろ?色はおんなじやけど。」

んんっ?ともう一度見比べると確かに模様は全然違う。
八藤?の方は模様が細かく散っている。
…でも色は全く同じなんだなこれが。

「えーと、あ、私柳椿と申します…」

「よろしゅう椿さん」

にこっと八藤?が微笑んだ。

「ほな、うちはお着物の方行きますね。後はよろしゅうな小葵」

小葵と呼ばれた八藤?は、はいはいと軽く返事をする。

私はドキドキと恐縮しきっていた。
あぁ、ヤマどこ行っちゃったんだろ?
今はあの変なやつでもいいから側にいてほしい。

「美人さんやなぁ…。」

小葵の呟きでやっと我にかえった。

そんなことないです小葵さんたちのが数億倍美人ですと照れつつ答える。

…そうとも、地獄は美人が多すぎる。



(…美人…)




(…「椿もみがけば美人だよ。ぎゃふんと言わせればいいじゃん?」)



…あ、…


地獄の出来事があまりにめまぐるしくて、忘れていた。
クールで、人のことを呼び捨てにしてくる美形の我弟のことを…。

なんだかんだでいつも優しい奏。どうしてるかな。
あいつのことだから、転んで死ぬとか阿呆すぎるとか言って呆れてそうだなぁ。
そうそう、奏はいっつも冷静で、初めて出会った時もひょうひょうとしていた。
私なんか新しい義父さんと弟と技の掛け合いがしたくてうずうずしてたのに。


「ふふ…。」

「あ、やっと笑ってくれた。はい、完成やよ。」

「へ?」



う、わ…。


わっ我ながら美人…。
化粧の力ってすげえ…!

「わー、小葵さんいつのまに化粧してたんですか?」

「目の前で!しっかりしてぇや。どうされはったん、椿さん?」


いえ、と私は答える。

しっかりしなきゃなぁ。

…よくわかんないけど、私は閻魔なんだから。
作品名:男女平等地獄絵図 作家名:川口暁