短いおはなし
に
象の滑り台というものを待っていた。
小さいころから憧れだった。
今最有力候補の中原さんが市長になった暁には、お願いしようと思う。
あの小さな公園に白い象がぽつりと立っていたら…。
考えて僕は子供のようにドキドキしてしまう。
きっと君はベンチにしちゃうだろうな。
そしたらサンドイッチをかじろう。
君がつくったサンドイッチ。
君はアラジンの魔法瓶にミルクティーをいれて持ってくる。
僕は紅茶が飲めないのに。
白い象にミルクがこぼれるってなんだか素敵じゃない?
…と、君はまたなんだかよくわからないことを言うだろう。
そして二人と一匹で昼間の月を見上げて、
「白い月ですねぇ。」
と象が呟くのだ。
そしてそれぞれの故郷なんかに思いをはせてみたりする。
象は静かに涙を流す。
真っ白な、ミルクティーみたいな。
だから僕は、早く中原さんが市長になってくれるといいと思う。