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ちょっとした出会いから

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 ここは山が、山が、山が、み(見)わたすかぎり山で、い(行)けどもい(行)けども山・たに(谷)・山・たに(谷)、である。う(生)まれそだったところだ。
 おさない(幼い)ころにかあさんから、しつこくおしえ(教え)られたことがある。
 『にんげん』といういきもの(生き物)がいる。わたしのし(知)るかぎりでもっとも(最も)どうもう(獰猛)ないきもの(生き物)だから、ちか(近)づいてはいけないよ。み(見)つかったらころ(殺)されるからね、
と。

 山にいるかぎ(限)り、で(出)あわないはずの『にんげん』にで(出)あった。
 ことし(今年)はなぜか『にんげん』のけはい(気配)がおお(多)くて、なかなかこうどう(行動)できずにいた。
 きょうはひさ(久)しぶりにむし(虫)をたべるのにむちゅう(夢中)になってゆだん(油断)してしまった。
 ササやぶをのぼ(登)りぬけたとたん『にんげん』とあ(遭)ってしまったのだ。それもすぐそばだ。
 びっくりしてうご(動)けなかった。あや(妖)しいしせん(視線)にとらえられてしまって、しばらくみ(見)つめあっていた。
 からだのでっかいやつだった。
 なんとかに(逃)げのびたが、すごくあや(危)ういところだったとおもう(思う)。