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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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大魔王ハルカ(旧)

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「……ハルカとゆっくりお話がしたいから、ボクについて来て欲しいな(ふにふに)」
「えっ、でも、カーシャを捕まえに来たんじゃないの?」
「……えっ!? そうなの!?(ふにゃ!?)」
 すごく驚いたような表情をして、やはりすぐに無表情に戻る。そして、一言呟く。
「……ウソ(ふっ)」
 無表情な顔についた口が一瞬だけ歪み、すぐに無表情に戻る。
「あの、でも仕事しないのは駄目なんじゃないんですか?(……国務執行官とか言ってたけど、こんな人が国務なんてできるのかな?)」
 ハルカがこう聞くとローゼンクロイツはペンタグラムの瞳でハルカの瞳を見透かし、
「……職場放棄(ふっ)。大丈夫、一時間もすれば別のひとが来るから。でも、それまで学院が残ってたらいいけどね(ふにふに)」
 無表情でとんでもないこと言うローゼンクロイツの瞳は尚もハルカの瞳を見つめ、何かを言いそうな雰囲気だった。だが、彼は何も言わなかった。
 ローゼンクロイツはスカートのふあふあレースをふあふあさせながら機械のような正確な歩調で歩いていってしまった。
 一瞬その場で立ち止まってしまっていたルーファスとハルカはすぐに歩き出しローゼンクロイツの背中を追った。
 すぐにローゼンクロイツの横に追い着こうとした二人だったが、ローゼンクロイツの移動速度は異様に速かった。だが、彼は普通に歩いている、それなのに追い着けない。ローゼンクロイツと二人の間には絶対的な何かがあるかのように思えた。
 今まで一度も足を止めなかったローゼンクロイツが突然足を止めた。それでようやく追い着くことのできたルーファスは呆然と立ち尽くしてしまっているローゼンクロイツの横顔を見た。
「どうしたの? こんなところで立ち止まって?」
 辺りは家々の立ち並ぶ住宅街だった。人通りは無く、静かだ。
「……道に迷った(ふあふあ)」
 衝撃発言だった。
 後ろからやっと追い着いて来たハルカは息を切らせながらローゼンクロイツを見上げた。
「道に迷ったって、あなたが前歩いてたんでしょ?」
「……冗談(ふっ)」
 無表情な顔についた口が一瞬だけ歪み、すぐに無表情に戻る。ちょっと小ばかにされたような感覚をハルカは覚えた。
「ローゼンクロイツさんって性格悪いですよちょっと!(ホントはちょっとどころじゃないけど)」
 こんなふうにちょっと強い態度で出たハルカに、思わぬ精神的攻撃がローゼンクロイツから繰り出された!
「……ペチャパイ(ふっ!)」
 無表情な顔についた口が一瞬だけ歪み、すぐに無表情に戻る。ちょっとローゼンクロイツは頭にきたのかもしれない。
「ペチャパイってなんで知ってるのよ! ネコの私見てなんでそう言い切れるの!(……どーせ、私は胸ないけど、こういう言い方されると腹たつなぁ〜!)」
 必要以上に反論してしまったハルカに無表情のローゼンクロイツの一言が繰り出される!
「……推測(ふっ)」
 無表情な顔についた口が一瞬だけ歪み、すぐに無表情に戻る。
「推測で言わないでください!(当たってるけど)」
「……ウソ(ふっ)。今はネコの身体かもしれない、見た目はネコかもしれない。でも、その中に入っているマナの形は変わらない、ボクにはそれが《視える》から、君がペチャパイだってわかった。つまり、ペチャパイはネコに入ってもペチャパイなわけで、ペチャパイはペチャパイのままで、つまり君は今もペチャパイ」
「ペチャパイ、ペチャパイうるさい!!(まだまだ、発展途上なんです!)」
 と、ここでハルカの頭にあることが過ぎった。
「(マナが見えるって……もしかして裸見られてるの!?)ねぇ、ルーファス。ルーファスは私のマナを直接見ることできるの?」
「私はできないけど? それがどうかしたの?」
「ううん、別にいいの。あのローゼンクロイツさんちょっと耳貸してもらえますか?」
 こう言われたローゼンクロイツはハルカを抱き上げて自分の耳元に近づけた。
「もしかして、私の裸とか見えてるんですか?(もし、そうだったら恥ずかしくて外出れないよ)」
「……それはどうかな?(ふっ)」
 この態度にハルカのネコパンチが繰り出されたが、ローゼンクロイツはハルカの腕を掴み受け止めた。
「……冗談(ふっ)。大丈夫だよ、マナっていうのは真の形は不変なものだけど、偽ることができる。君のマナは今服を着ているから心配しなくてもいい。けど、君が裸って思えば裸になるから気をつけてね」
 ローゼンクロイツはハルカを地面に降ろすと、
「さてと、行こうか?(ふにふに)」
 と言って手を上げた。
 次の瞬間に起きたことにルーファスとハルカは何が起きたのかを把握するまで時間がかかった。滑り落ちていた。ローゼンクロイツが手を上げた瞬間、地面が左右に開け下に落ちたのだ。
 長い滑り台のような、いや、ジェットコースターのような感覚で下に下りて行く。右へ左へくねくね曲がりくねって、やがて止まった。
 止まった拍子にお尻を打ったルーファスは、お尻に手を当てながら辺りを見回した。
 太陽の光ほどではないが、ここはろうそくの光よりも断然明るく、辺りが見通せる。人工の建造物であることはすぐにわかった。石で作られた壁と床、そして前方に立つ神殿と思わしき建物。
 思わずこうルーファスは呟きたくなった。
「どこ、ここ?」