大魔王ハルカ(旧)
レイビームは白く長い帯のように幾本も発射され、蛇が身体をくねらせるようにしてファウストに喰らいつくが如く襲い掛かる。
ファウストは魔法で防護壁を作りそれを難なく防ぐ。この時点では互いに本気を出していない。レイラとアイラと呼ばれる簡単な魔法しか使っていない。
だが、今度はファウストが仕掛けた。しかも、ライラと呼ばれる強力魔法で――。
「ダークフレイム!(魂をも焼き尽くせ)」
漆黒の炎が渦を巻きカーシャに襲い掛かる! カーシャはそれを魔法を放って打ち返そうとする。
「ライトクロス!(小癪な!)」
雷光が漆黒の炎を突き抜けかき消し、そのままファウストに襲い掛かる! だが、ファウストは臆すること無く呪文を唱える。
「デュラハンの盾!(甘いですよ)」
雷光は魔法壁に弾かれ廊下の壁を突き抜けどこかに飛んでいってしまった。きっと、どこかで被害者が出たに違いない。
二人の戦いは終わりそうになかった。――だからルーファスはそーっと逃げることにした。この時ばかりはカーシャ以上の忍び足で……。
後ろから爆発音が聴こえ、爆風が背中を押すがルーファスは決して振り返らなかった。何が起ころうとルーファスはもう他人のフリ、巻き込まれるのはごめんだった。
ルーファスがいなくなったことにも気付かず二人の戦いは加熱し続く。だが、ルーファスには関係ないことだ。彼はもう自由と言う世界に羽ばたいたのだから。
作品名:大魔王ハルカ(旧) 作家名:秋月あきら(秋月瑛)