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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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大魔王ハルカ(旧)

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第2話_魔王なんかじゃない!


「はははは、私は大魔王ハルカだ。人間どもなんて、そのぉ〜、え〜と、はははは〜っ(アホくさ)」
 ハルカのセリフはかなり棒読みだった。
「う〜ん、イマイチだな(大魔王っていったら、もっとなんかこう……)」
「ねぇ、なんでこんなセリフの練習しなきゃいけないの……?」
「だって、これから大魔王になるんだから」
「ならない!(……はぁ、なんでこんなことになっちゃったんだろ?)」
 ハルカはへっぽこ魔導士ルーファスの指導もと大魔王になるための練習の猛? 特訓中だった。
 ハルカがこっちの世界に召喚されてしまってから早3日、彼女はへっぽこ魔導士ルーファスといっしょに暮らしている。
 3日間の間にルーファスからこの世界のことをいっぱい聞いたり、出かけたりしてハルカはこっちの世界の生活に少し馴染むことができた。……と思う。
 そんなこんなで3日という時間が過ぎていったのだが、いっこうに元の世界に戻る方法……一欠片の糸口すら見つからなかった。

 ハルカはルーファスの家のソファーに座って考え事をしていた。
「(はぁ、みんな心配してるんだろうなぁ。学校終わって家に帰ってたらいきなり変な渦に飲み込まれて……)」
 そんなことをハルカが考えていたら、遠くの方からルーファスの声が聞こえてきた。
「ねぇ〜、昼ごはんまだぁ?」
「……(なんで私が?)」
 ハルカはここに来て以来なぜか家事全般をやっている。
「昼ごはんは〜?」
「自分で作ればいいでしょ!!」
 ハルカの声が家中に……家の外まで鳴り響いた。さぞかしお隣りさんのタマも驚いたに違いない。
「だってさぁ〜」
 ルーファスはそう言いながら、気だるそうなにあくびをしながらハルカの前に姿を現した。
「だってさぁ〜、じゃないでしょ(この人私が来るまでどんな生活してたんだろ)」
 ハルカがここに来て以来家事全般をしているのは見るに耐えなくなってのことだった。
「ふぁ〜……(眠い)」
 ルーファスは頭をぽりぽりと掻きながら大きなあくびをまたしている。そして、一言。
「おなか空いた」
「…………(死)」
 正直ハルカはこの時、ルーファスに対して殺意が沸いた。
 ハルカはこの世界に来て3日の間、この世界についての知識を学ぶともに、それ以外のことで膨大な時間を費やした作業があった。……それは掃除、この部屋の掃除である。散乱する魔導具の類が大地を形勢し山をつくり、まさに足の踏み場の無かったこの部屋を彼女は3日間のほとんどの時間を費やして掃除。そして、ついに今日の昼間家中が片付き、疲れた彼女がソファーに座っていたところをルーファスにおなかが空いたと声をかけられたのだった。
「あの〜、昼ごはん」
「私はもう食べた」
「仕方ないなぁ〜」
「(仕方ないじゃないでしょ)」
 ルーファスは両手を広げ大きく深呼吸をして、口に空気をいっぱいためモグモグと口を動かしごくんと何かを飲み込んだ。その光景はかなり変としか言いようがない。 
「……(何やってんのこの人)」
「……(やっぱり空気じゃおなかいっぱいにならないか)」
 そんなことでおなかがいっぱいになるはずない。
「(気晴らしに散歩でもしようかな)」
 そんなことよりも自分で昼飯作れよとツッコミを入れたくなる。
「私はちょっと散歩に行ってくるけど、ハルカも来る?」
「……うん(外の新鮮な空気が吸いたいかも)」
「じゃあ、行こうか」
 そんな訳で二人は心地よい日差しの中を散歩することになったのだが、この散歩があんなことを引き起こすなんてこの時の二人は夢にも思わなかった。

 この世界はガイアと呼ばれている。名前の由来はよくわかっていないが、このガイアの地は不思議なエネルギーを持っている。そのエネルギーとは大地から発せられるエネルギーとこの世界に存在する全てのモノが持っているマナと呼ばれる命の源のことで、その二つのエネルギーが共鳴すると魔法が使えるらしいということらしい。ルーファス曰くだが。
 この世界に存在する魔導士とは、そのマナのエネルギーを使うことにより魔法を使うことのできる人々のことで、魔法の使い方は自分自身のマナを消費して魔法を使う場合と自分以外の人や物などのマナを借りて魔法を使う2種類の方法がある。この説明もルーファス曰くだが。
 ルーファスの住むアステア王国はこの世界でも三本の指に入るほどの魔法国家で(ちなみに1番はこの国なのだが)、街のあちこちには魔導具を売る店が多く存在する。そんなわけで(何が?)二人は散歩がてらに一軒の魔導ショップに立ち寄ることにした。
「あー、ここ、ここ(それにしても、いつも思うけどこのネーミングは)」
 ルーファスが指をさした先には店の看板が、
「……美人魔導士のいる店?(こ、これが店の名前!?)」
 ハルカが店のネーミングに困惑しているところに不意にルーファスから声をかけられた。
「何してんの、入るよ」
「あ、う、うん」
 ルーファスが店のドアを開けるとカランコロンというベルの音が。
「(綺麗な音色)」
 そんなことを思いながらハルカがふとルーファスの方を見ると、彼は耳を両手で抑え目をぎゅっと瞑っている。ハルカは思わず声をかけてみた。
「何してんの?」
「…………」
 返事がない……。
「ねぇ」
「……ぷはっ、苦しかった」
「……(何してたんだろ)」
 ハルカが疑問で頭を悩ましてたとき、店の奥からちょっと低く呟く感じの女性の声が、
「耳を塞ぐのはわかるが、目つぶって息止めることないだろ(さすがはへっぽこ)」
「あははは、そうなの」
 暗がりの中に明かりがポッと浮き上がったかと思うと、そこに女性の顔が現れた。
「こんばんわ、へっぽこ(……ん、もうひとりは誰だ?)」
「やあ、こんちわカーシャ、ちなみにまだ外は昼だよ」
「部屋の中はいつも暗いから、私にはいつでも夜(私は夜に生きる女……ふふ)」
 ハルカはこのとき思ったことがある。
「(この人も変わり者だ)」
「だからって、ろうそく一本で客を迎えることないでしょ(だから変な客しか寄り付かないんだ)」
 ルーファスもその『変な』ひとりだと断言できると思う。
「で、今日は何をお求め」
「あぁそれがだね」
 ルーファスは店のカウンターに歩み寄って、自分の顔を店の主カーシャの顔に近づけた。
「実はね(やっぱり、近くで見た方が綺麗だ)」
 そのために近づいたのか、ルーファス!
「あの後ろにいる娘のことか?(あ、ああ勝手に店のものに触るな)」
「ビンゴ(さすがカーシャ勘が鋭い)」
 ガシャン!!
「だから店の物に触るなと言っただろうが」
「ご、ごめんなさい(高そうなの壊しちゃった)」
 ハルカは店の物を物色していたとき、綺麗な置物があったからつい触ってしまったら、床にガシャンと落として壊してしまったのだった。ちなみにカーシャは心の中で『触るな』と思っただけで直接口には出していない。
「壊してしまった物は仕様が無い、へっぽこお前が弁償しろ」
「な、なんで私が」
「お前が連れて来たのだろ(へっぽこだから……ふふ)」
 二人の会話の間にハルカが割り込んできた。
「あ、私が弁償しますから(でも、私この国のお金持ってないんだよね)」
「……2万ラウル」