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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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大魔王ハルカ(旧)

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 部屋中は魔導書や魔導具の類で埋め尽くされ……まるでここは腐海の森のようであった。
 そこに紅茶を入れてきたルーファスが台所から帰ってきた。
「なんだ〜まだ座ってなかったの」
「だってこの……」
 女の子はルーファスの方を振り返った瞬間、言葉を失った。
「(かっこいい」)」
 そうルーファスのことを見てそう思ったのだが……。確かにルーファスの容姿はなかなかいイケてる、綺麗な顔立ちに銀髪の長いさらさらヘヤー、長身で確かにかっこいいが……。この国で彼のことをかっこいいと言う人はあんまりいない、確かに彼のかっこよさ、美しさは隠れファンクラブが存在するほどのものではあるが、そんなことよりもドジで間抜けでへっぽこな面が目立ってしまいどこに行ってもへっぽこ魔導士と言われてしまう。そのためファンクラブは永久に『隠れ』のままだったりする。
「どうかした?(私の顔に何かついてるのかな……あっ眼鏡……かわいいかも)」
「さっきまで気づかなかったけど、あなたかっこいいのね」
 彼女が今のいままで気づかなかったのには理由がちゃんと存在する。?地下室が暗かったから、?かなりさっきまで混乱してたから、(メダ○ニ?)?彼女はかなり目が悪いから、以上。
「いや〜、かっこいいなんて言われたのひさしぶりだなぁ(いいこと言うなこの子)」
「(こんなにかっこいいのに)なんでそんなにかっこいいのに?」
「私のことを知ってる人はそんなこと言ってくれないからなぁ〜あはは」
「どうして?(実はちょー変態とか)」
「まぁ、そこに座って」
 ルーファスの指さしたそこは
「(がれきの山?)」
 ルーファスの指の先にはがれきの山が……ではなかったよく見ると椅子だった。
「(あまりのも散らかってたから……)」
 ルーファスはすぐに女の子の気持ちを察して、
「はい、紅茶」
 紅茶を手渡すと、椅子の上にあったがらくた? を掃除した(床に落とした?)。
「どうぞ」
 ルーファスはどうぞっていう手のポーズを決めてニッコリ笑った。その笑顔は美しくてうっとりしそうだったけど女の子は思った。
「(かっこいい人ほど不精者 byフルーツ○スケット )」
 そんな言葉が頭を過ぎった。
「どうしたの早く座って」
 女の子はルーファスに勧められるまま、よいしょって感じで座った。それを見てルーファスもどっこいしょって感じで座った。ちなみに声は出さなかったけど。
「では、私がかっこいいと言ってもらえない理由ですが……それが世界征服しようと私が思った理由にも繋がっていて」
「うんうん、それで」
 女の子は食い入るようにルーファスの話を聞いている。興味津々といった感じだ。
「実は私、この国では『へっぽこ魔導士』と言われていて、そいつらを見返してやろうかなとかって思って……」
「(私を間違って召喚したぐらいだから……てゆーか、見返すためにって)」
「魔導学園に通っていたころから、ドジで間抜けでクラスメートからはいじめられるし……あぁ人生最悪」
 ルーファスは軽い回想に浸っていた。
「あ、あのぉ〜(ちょっとこの人変かも)」
「あ、これは失礼」
「あのだから、私が家に帰る為には具体的にどうすれば……?」
「世界征服だから……人間たちを支配して、奴隷にして、大量虐殺とか……(召喚しようとしたの大魔王だし)」
「それって、魔王みたい」
「ビンゴ! そう私が召喚しようとしたのは大魔王なんだよね」
「ようするに私に魔王の変わりをしろってこと?」
「う〜ん、頭の回転がすばらしい」
「無理!」
「じゃあ、一生帰れないな」
 ルーファスは紅茶を少し口に入れた。
「(ちょっと、濃いな)」
「あ、あんたねぇ、誰が呼んだのよ、誰が!」
 女の子は怒りのあまり勢いよく立ち上がった。その拍子に手に持っていたカップから紅茶が放物線を描きながら逃げだした。
「あっちぃ〜」
 逃げ出した紅茶の2/3がルーファスの顔に、美しい顔に(美しいというのはあんまり関係ないか)、見事かかった。それは女の子がまるで狙ったかのようだ、もし狙ってやったならかなりの悪女だ。まぁこれは不可抗力ってやつだけど。
「ご、ごめんなさい(ど、どうしよう)」
 女の子は慌ててポケットから駅前でもらったポケットティッシュを取り出し、ルーファスの顔をごしごしとやった。
「あ、あの(痛い)」
「はぁ……はぁ……(これだけ拭けば)」
 確かにこれだけ拭けばお茶は一滴も残ってないだろう……しかし、ルーファスの顔はティッシュのカスですごいことになっていたけど。
 ルーファスは顔についたティッシュをパッパッと振り払うと、ちょっと真剣な顔付きになった。
「……(そういえば)」
「……どうしたの?(すごい真剣な顔)」
「まだ……」
「まだ……?」
「名前聞いてなかったよね」
「……(……ばかぁ)」
「私の名前は(自称)天才魔導士ルーファス」
「あ、私はハルカ(天才ってへっぽこなんでしょ)」
「よろしく」
 ルーファスはハルカの手を無理やり掴んで手をぶんぶんと、握手をした。
「あのさぁ〜、私が帰れる手段は他にないの?」
「さぁ……まぁこの世界は広いから、そのうち見つかる(かも)」
 ルーファスの頼りない言い方にハルカは、
「はぁ……少し休む」
 とため息を付き、椅子にバタンともたれた。

 こうして(自称天才)へっぽこ魔導士と異世界から来た女の子ハルカの物語、ハルカが元の世界に戻る方法を探す物語、ハルカが魔王になる物語? が始まった……。