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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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大魔王ハルカ(旧)

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第3話_魔導学院


 ソファーの上で昼寝を楽しむルーファスの腹にネコパンチが喰らわされた。
「うっ!(最近よく殴られる)」
「ルーファス起きて!!」
 目を擦りながらルーファスが自分の腹のところを見ると、そこには黒猫ハルカが乗っていた。
「起きた?」
「起きたよ(ネコのクセして、なんであんなにパンチ力があるの?)」
 少し怒った様子のハルカは、軽やかにルーファスのお腹からフローリングの床に飛び降り、ルーファスの顔を睨んだ。
「私が人間に戻る方法探してくれてたんじゃないの?(昼寝してるなんてヒドイ!!)」
「あ、うん(そうだったんだけど……いつの間にか寝てた)」
 だらんとソファーからはみ出たルーファスの片方の手の先には、床に開いた状態で落ちている魔導書が落ちていた。読んでいる途中で寝てしまったに違いない、決定的な証拠だった。
 白い目でルーファスはハルカに見られている。
「だから、さっきまでは一生懸命だったんだけど……(寝てた)」
「寝てたんでしょ?」
「だって……(眠かったんだもん)」
「ルーファスはいいよ、私の身になって考えてみてよ! 家には帰れないし、ネコにはなるし、私の人生返して!!」
「私だって、ハルカが家に帰る方法と人間に戻る方法を考えてるよ!!(でも見つからないんだからしょうがないだろ……)」
「ふん!(へっぽこ魔導士!!)」
 機嫌サイテーのハルカはさっさとどこかに行ってしまった。もちろんしっぽは立っていた。
「しっぽ立てるなんて……わかりやすいな」
「ホントにわかりやすいなあの娘は……」
「わっ!!(……カーシャか)」
 ソファーに腰を掛けている、ルーファスが横を見るとそこには、カーシャもソファーに何時の間にか腰を掛けて落ち着いていた。しかも、手にはティーカップが……落ち着き過ぎ。
「こんばんわ、この頃寒い日が続くな(ついでに私の心も猛吹雪……ふふ、寒い)」
「いつも思うんだけど、不法侵入だよね?」
「安心しろ、玄関から入っている(ノックはしてないがな)」
玄関から入っていても不法侵入は不法侵入だ。カーシャが一日で犯している罪は数知れず。
「玄関から入っても不法侵入は不法侵入でしょ?」
「不法滞在よりはマシだろ?」
「意味わかんないよ」
 カーシャの言い訳は意味がわからなかった。
「ところでルーファス暇か?(暇でなくとも強制だが)」
「まあ、暇って言ったら暇だけど……(それより、なんでカーシャは毎日毎日うちに来るの? 私より暇なんじゃないの?)」
 ホントにカーシャは毎日毎日何をしてるのでしょうか? 答えは簡単、店が営業停止にされてしまったのでルーファスをいびりに来てるのです。駄目じゃん。
 なんとも言いがたい悪魔の微笑を浮かべてルーファスを見つめるカーシャの瞳は凄く濁っていた。よからぬことを考えているのは明白だった。
「…………(嫌な予感がする)」
「戦争しに行くぞ」
「はっ!! どこに!?(戦争って何!?)」
 カーシャのビックリドッキリ仰天発言にルーファスは度肝を抜かれた。
「魔導学院に乗り込むぞ!!(ふふ……おもしろいことになるぞ)」
「乗り込むってどういうこと?(戦争って!?)」
「実際全面戦争になるかはわからんが、おまえと”私”があの学院に乗り込めば追い出されるの必然。最悪戦争だな」
「戦争っていうのは言い過ぎでしょ?(確かにカーシャが学院に戻ったら、追い返されるだろうけど)」
「わからんぞ、ファウストなら私に喧嘩を吹っかけてくると思うが?」
「確かに(ファスト先生ならありえるな、あの人そういうの好きだからな)」
 ファウストとは、以前ルーファスが通っていた魔導学院の教員で、悪魔系の術を得意としていた人物だ。学院ではカーシャに次ぐトンデモ系の狂師で、危ない実験や魔術が好きな先生だった。カーシャが学院をクビになった今は学院一のトンデモ狂師はファウストに違いなかった。
「ねぇ、二人ともなんの話ししてるの?(ルーファスやけに顔蒼いけど?)」
 いつの間にかハルカが二人の前まで来ていた。ネコになったハルカはカーシャに次ぐ忍び足を手に入れたらしい。
「こんばんわハルカ。おまえも一緒に来い、元の世界に帰る方法と人間に戻る方法両方の手がかりが見つかるかもしれん」
「ほ、ホントですか!?(……カーシャさんの言うことは信用できないけど)」
 カーシャの信用はガタ落ちだった。当たり前と言ったらそれまでだが……。
「本当だ。優秀な魔導士たちがこの国で一番集まる所に行く(学院時代のルーファスはへっぽこだったがな……ふふ)」
「そんなところがあるんですか?(じゃあ、今まで何で連れて行ってくれなかったんだろ?)」
 ハルカがふとルーファスの顔を見ると、彼は今までハルカが見た中で一番うかない表情をしていた。魔導学院はルーファスにとってあまり行きたくないところだった。なぜならば、恥ずかしい思い出しかないからだ。
「ではさっそく魔導学院に行くとしよう。ハルカはこの中に入れ」
 カーシャはそう言うと、どこからか携帯用ペットハウスを出してドアを開けた。
「丁重に運んで下さいね(前にカーシャさんに運んでもらった時は酷かったからなぁ〜)」
 ペットハウスに入る寸前ハルカはルーファスの顔を見た。ルーファスは以前うかない表情をしていた。
「なんでうかない表情してるの? ルーファスも早く準備してよ」
 ハルカに言われ、ルーファスは重たそうに腰を上げると、空気よりも重そうなため息を落とした。
「はぁ〜……行くのヤダな」
 これは心からの本音、まさに心の叫び。ただでさえ行くの嫌なのにカーシャは殺る気満々。ルーファスはだんだん頭が痛くなってきた。
 誰が頭が痛くなろうとカーシャには関係ないことらしく、ハルカをペットハウスに入れたカーシャはルーファスに足蹴りを喰らわせて、ペットハウスを差し出した。
「これ」
「私が持つの?」
 と聞きながらもすでにルーファスはペットハウスを受け取っていた。ここにあるのは女王様と下僕の構図、長年カーシャに尻を敷かれているルーファスの悲しい習性だった。
「行くぞ」
 すでにカーシャは玄関を出る寸前だった。カーシャの移動速度は異様に速い。だが、カーシャが素早く動いているのを見た者はこの世に誰も居ない。まさにミステリー、カーシャは謎多き女性だった。

 ガイアと呼ばれるこの世界には魔法を使える者が普通に存在している。
 そして、このアステア王国には魔法を教える学校が存在する。
 この国には普通教育を9年間受けることが義務付けられているが、普通教育にプラスして魔法を学ぶこともできる。魔法教育を受けるかどうかは個人の自由だが、ほとんどの者はこの教育を受けている。
 9年間の義務教育を終えると、その上に専門各種の学校があり、試験などを受け授業料等を払い入ることができる。その中に魔導士と呼ばれる魔法を使い仕事をこなす職業に就く為の学校ある。人々の病気を治す魔導士もいれば、天候を自在に操る魔導士、中には工事現場で石畳みの道路を作っている魔導士もいる。魔導士が生活に根付いているだ。