大魔王ハルカ(旧)
ハルカ大ピンチ!!
恐怖に苛まれてハルカは猛ダッシュで逃げようとした。が、カーシャは床を滑るように移動して、ハルカの腕を掴んだ。
「逃げるのか?(ふふ、逃げても無駄)」
「逃げるなんて……ちょっとトイレ(カーシャさん、恐い)」
「マナの状態でトイレに行きたくなるわけないだろう?」
ぐぐっとハルカの身体が引っ張られた。
「あ、あの、カーシャさん、ちょ、ちょっと心の準備が……(殺される!!)」
殺されはしないと思うが、いい実験台にはされるだろう。ハルカ危うし!
カーシャに腕を引っ張られて部屋の奥に引きずられていくハルカ。彼女の運命はどうなってしまうのか!?
数時間後、ルーファスの家にカーシャが訪ねてきた。
「こんばんわ、ルーファス」
「あれ? ハルカはどうしたの?」
ハルカの姿が見当たらない。ハルカは一緒ではないのか……まさか、実験に失敗したとか!?
「ここにいる」
ルーファスの目線はカーシャの持っている、携帯用ペットハウスに注がれた。
「ここにいるって、その中に?(まさか、そんなところに入るわけないじゃん)」
カーシャは膝を付き携帯用ペットハウスのドアを開けた。中から出てきたのはネコ、でも普通のネコじゃななかった。人間の言葉をしゃべるネコだった。
「……ルーファスただいま」
聞き覚えのある声だった。そして、ルーファス驚愕!
「は、ハルカ〜っ!?」
ネコ=ハルカは小さく頷いた。
「ネコになっちゃった(出目金よりはマシでしょ?)」
しばし沈黙のルーファス。彼が次に取った行動は、カーシャの胸倉を掴むことだった。
「ど、どういうことだよ?(ネコってなんで? カーシャがネコ好きなのは知ってるけど)」
「しかたないだろ、ハルカが消えてしまうよりはマシだろうに……(本当は出目金がよかった)」
ハルカはワザとらしく、ネコっぽく、ルーファスに擦り寄ると、
「にゃ〜ん♪ そういうことだからよろしくね!」
「はぁ〜?(なんで、こうなるの!?)」
ルーファスは頭を抱えて悩んだ。そんな彼を頭痛が襲う……可哀想なのはいったい誰なのか?
ネコになってしまったハルカとルーファスの生活が始まってしまった。
果たしてハルカは人間に戻ることができるのか!? むしろ家に帰ることはできるのか?
ハルカの運命はどうなってしまうのか!?
作品名:大魔王ハルカ(旧) 作家名:秋月あきら(秋月瑛)