大魔王ハルカ(旧)
それを順番にルーファスから説明していくと。まず彼は出血多量ではあったが戦闘終了後に駆けつけたアステア兵によって一命を取りとめ、その他その場に倒れていた多くの兵士やエルザ元帥、ついでにヴァガ将軍も救われたらしい。
次にカーシャだが、彼女はある日突然ルーファスが入院していた病院に姿を現し、ルーファスが『なんで生きてたの』と聞くと『……冬だからな……ふふ』と言って不適な笑みを浮かべるとそれ以上何も語らなかったらしい。
そして最後にハルカだが、彼女は魔王が滅びた後自由の身になったのだが、身体が滅びてしまったためにハルカのマナだけがこの世界に残ってしまったらしい。つまり今の彼女は幽霊と同じようなものらしい(カーシャちゃん曰くだが)。
「あの、カーシャさん」
ハルカはちょっと不満たらたらな顔をしてカーシャを見つめている。
「何だ?」
「カーシャさんが『死者の召喚』なんてしなかったらこんなことにならなかったんじゃないですか?」
「……終わったことだ気にするな(……ふっ……真実は言えない)」
真実って何だカーシャ! 隠し事か!!
ハルカは自ら堪忍袋の緒を切った。
「『気にするな』って、この身体どうしてくれるんですか!(無責任)」
「みんな生きていたんだ細かいことは気にするな」
ルーファスもそれに腕組みながら、うんうんと同意する。
「そうそう」
”バッシーン!!”という音が辺りに鳴り響いた。ルーファスの頬が真っ赤に染まった。
でもまぁ、カーシャの言うとおりみんな生きていたのだからいいじゃないの? これで大団円といきましょう♪
「よくなーい!!」
ハルカの声だけが虚しく辺りに響き渡った……。
魔王は滅び国は徐々に平和を取り戻し、全てが終わった……のだろうか?
ハルカの運命は、身体は、家にはいつ帰れるのか、それとももう帰れないのか?
数多くの謎はどうなった、あまりにも物語の終わり方が安直過ぎるのでは、物語は続くのか?
それは誰にもわからない……?
Fin……?
作品名:大魔王ハルカ(旧) 作家名:秋月あきら(秋月瑛)