かえるの写真
私は素直に感心して、やがて少しだけ彼女の朗らかさを受け入れる気になった。
今まで私はこの気質のお陰で、随分と仕事の効率を落としていた。自覚はあるが直そうとは思わず、私のパートナーになる人間は数瞬間から数ヶ月でころころと変わった。それでも仕事の出来自体には影響が出ないのだからいいだろうと、私も上司も半ば諦めていたのだが――彼女と組んでからというもの、今までになく上手くいっていると自分でも思う。
滞りなく仕事が出来るのは、気持ちがいいものだ。仕事しか打ち込むもののない私のような人間にとっては、死活問題ですらある。
私は彼女と組んでから仕事が上手く進むようになったことに満足を覚え、そこでようやく名城というパートナーを受け入れよう、と思った。
しかし私は気づいていなかった。
認めよう、ではなく、受け入れよう、と思った自分の変化に。
今までどんな人間に対しても、認めようと言う気は起きても受け入れようと言う気は起こらなかったのに。こうして以前の自分を忘れてしまうくらいに、私は――楽しかったのだ。彼女と仕事をすることが。
「名城さんがいると本当に片付くのが速い。助かっています」
いつだったか、快さに気が緩んで彼女にそう零したことがある。
すると彼女は目を丸くして、笑った。
今まで彼女は私にさえ明るい笑顔を向けてくれてはいたが、こんな風に嬉しそうに笑った顔を見るのは初めてだった。
「え、ほんとですか!? ……ってほんとですよね。高屋さんて、嘘ついたりお世辞言う人じゃないですもんね」
ありがとうございます、となぜか彼女は私に礼を言った。
どうして感謝されるのかさっぱり分からなかったが、不思議と不快でもなくて――どことなく心地良くて、私は短く「いいえ」と答えてから、少し考えて「こちらこそ」と返した。
彼女はまた目を見開いて、今度は声を立てて笑った。