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かえるの写真

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 自分で言うのもなんだが、私は非常に付き合いづらい人間であると思う。
 反対に彼女は非常に付き合いやすい人間で、人付き合いも上手い。何せ私のような人間と、もう半年も組んで仕事をしていられるのだ。もはや一種の才能と言っていいだろう。
 けれどそんな彼女でさえ、私にとっては苦手なタイプに入るのだ。
 素直な気質で明朗で、幾らかお節介で、年の割に屈託なく笑う。いかにも陽性の人間が持つあけすけさと朗らかさが煩わしいと、最初のうちは何度も思った。
 時にはあからさまに不快を示したこともあった。

「……あまり面白い話とは思えませんね」
「あ。すいません」

 私が不快感を示すと彼女は決まって眉を下げて、言葉少なく謝罪する。しかし翌日にはけろりとして、いつも通りに笑って私に仕事の手順を告げる。
 彼女の素直で根に持たない性質は実に有難かったが、それがまた軽薄に見えて私は内心苦笑してばかりだった。

 それをあまり感じなくなってきたのは、彼女の仕事の手が速いと気付いてからだ。
 本人が「小難しい処理は得意じゃないんです」と言った通り、ややこしい案件になるとよく頭を抱えて唸っているが、あちこちに生じる細々した仕事には強い。バラバラに散ばった用事を手際よく片付けていく術に長けていて、何より事前事後の手回しの手際がよかった。
 こういった手回しは、他者に対する配慮の苦手な私には到底真似できない。彼女と組むようになってから仕事の効率は格段に上がり、また仕事が終わった後の諸手続きもスムーズに行くようになった。

作品名:かえるの写真 作家名:穴倉兎