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VARIANTAS ACT3 再会

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「からかわないでください…イクサミコは人間に従うようには作られていますが愛するようには作られていません」
 そう言う彼女。
 突然、グラムからのコールがかかった。
「こちら実験機、ミラーズだ。スタンバイ完了。砲へのエネルギーをくれ」
「了解。主任、開始許可を」
 姿勢を正すグレン。
「いいわ。実験開始」
 技術者達が、一斉に作業を始めた。
「コヒーレントカノンへの送電開始。一号ライン通電、ニ号ライン通電、三号ライン通電開始」
「全冷却システム正常稼動中」
「共鳴フィールド展開開始」
「チャンバー内真空化」
「共鳴開始」
「臨界まで後20カウント……、臨界点突破。いつでも撃てます。主任、発射許可を」
「分っているわ。ミラーズ大佐。砲のシステムをエステルに預けます。いつでも発射できます」
「こちらミラーズ、了解。エステル、弾道計算は済んでいるな?」
「はい。全て完了しています。目標は1000m先のメタニウム単一装甲板です。厚さ100mm、RHA換算650㎜。射撃官制は手動です」
「了解。3カウントで発射する。3・・・2・・・1・・・発射」
 巨大な砲身から共鳴粒子弾が発射された。
 粒子弾は真っ直ぐ目標に向かい、粉砕。貫通する。
「着弾確認。砲は目標を破壊。繰り返す。目標を破壊」
「どうです?ミラーズ大佐」
 誇らしげな表情のグレン。
「良い威力だ。後は小型化とチャージのスピードだな」
「改良が進めば、問題ないでしょう。実験は終了です。帰還してください」
「わかった」
 移動用のプラットホームに乗ろうとしたそのとき、グラムは突然、HMAを停めた。
「大佐? どうしました?」
「最近この近辺でテロが多発していると、来る前聞いたんだが…」
「…え? ええ。そうですけど、それが何か?」
「最新の兵器を外で試験している今…今こそ格好のタイミングとは思わないか?」
「ええ。まあそうですけど…まさか…うちは目標になるほど有名では…」
「いや…何かが近づいて来るのを感じる」
 グラムは火星の荒野に向かい、HMAの目を向けた。
 まだ何も見えない。
 その時、管制室のレーダーに点が映った。
「主任! 試射場前方80kmに複数の熱源体が!」
「なんですって?」
 管制室に緊張が走る。
「HMA8機が高速で接近中!」
 グレンは慌ててグラムに連絡する。
「大佐! 見えていますか? 大佐!!」
 混乱して何度もコール。
「聞こえてる。聞こえている! 落ち着け! それより迎撃はどうした?」
 グレンをなだめ、冷静に問いただすグラム。
「ここには迎撃用の武装なんて殆ど無いんです! あるのは機銃くらいで…」
 グラムは呆れ気味に心の中でつぶやいた。
「(なんだそれは…)」
「大佐! いったいどうしたら!」
 泣きそうな声でグレンが叫んだ。
「いいか? まず落ち着け。それから砲のエネルギーシステムをエステルから切り離せ。チャージはそっちのシステムでしろ。砲はあと何発撃てる?」
「三発は撃てますが今からのチャージでは一発しか…」
「よし。チャージしろ。それから、エステル!」
「はい」
「砲を撃ったらHMAのOSを戦闘用に書き換える。いまから書けるか?」
「はい。できます。格闘型の機甲体術ベーシックでよろしいですか?」
「ああ。やってくれ」
「了解。その際OSをカットします」
 準備を始めるエステル。
 外では敵の編隊にむかって機銃が発射され始めた。
 貧弱な攻撃だが、時間稼ぎにはなる。
「敵機接近!」




Captur 3

「隊長! 俺に先行させてくれ!」
「だぁめだ! だめだ! 編隊を崩すな! さっきから嫌なエネルギー反応がある! いくらボロ研究所でも何が出てくるか分んねぇぞ!?」
「こんな機銃しかない施設のどこに、HMAと闘える武器が有るって言うんだ! 俺は行くぜ!」
「おい!待て!」
 血気盛んなパイロットが乗っている様でしきりに先行を求めている寮機を、隊長機らしき機体のパイロットは制止するが、パイロットはスラスターをさらに吹かし機体を加速。制止の声を無視して先行して行く。
 その時突然の警告音、高エネルギー反応?
「え…?」
 先行した機体が、跡形も無く消し飛んだ。
「ビームキャノンか!? いや…熱量が消えた…。全機、砲撃はカンバンだ! 全速で突っ込め!」
 次の攻撃が無い事を悟り、高速で迫る7機のHMA。
 砲を撃つ時間はもう無い。
「よし。エステル。OSを再構築しろ」
「了解」
 エステルがOSを再構築し始める。
「でも大佐! いくらエステルでも今からOSを再構築するのは不可能よ!」
「主任!エステルのシステムが…!」
「なに?一体どうしたの!?」
 画面を見たグレンは驚愕した。
 画面を流れる、見たことのない、駆動制御プログラム。ベースはh1規格のOSだが、これは確実に別物。
 エステルはOSを再構築どころか一から作り直していたのだ。
「なんなのこれ…彼女の能力はモンスターよ!」
「戦闘プログラム構築。アップロード開始」
 グラムの乗るHMAに戦闘プログラムが送りこまれる。
 だが、その間にも敵機が距離を縮めてくる。
「隊長!前方に実験用HMAが1機。でも起動してねぇらしい」
「よしよしよし。このまま全速だ!」
「敵機3kmまで接近!」
 敵のHMAはすぐそばまで近づいていた。
「プログラム着床。起動」
 HMAが唸り声と共に再起動する。
 グラムは側にあった鉄骨を蹴り上げて掴むと、勢いで走り出した。
「敵HMA起動! 撃て!」
 敵機がアサルトライフルをグラムに向かって撃った。
 グラムは鉄骨を地面に突き、丁度、棒高跳びの様に高く舞い上がり、ライフルの弾丸をかわし、そのまま敵機の頭を踏み潰して前方にジャンプ。
 振り上げた鉄骨で前方にいたHMAの頭と胴体を一緒に叩き潰して、他のHMAの撃って来る弾丸を、今潰したHMAを盾にして防ぐ。
 鉄屑となったHMAを敵機に向かい蹴り飛ばし、それをデコイに、1機に向かって素早く横から接近。
 気付いた敵機はグラムに向かってライフルを向けるが、グラムはさきほどのHMAから奪った単分子ナイフでライフルを切り捨てた。
 そしてそのまま鉄骨で殴りつけ止めを刺すと、敵の隊長機に向かい突撃。
 機体を回転させ、渾身の力で撃ちこむ。
 敵隊長機は機体を素早く大きく駆動させ、鉄骨を回避。
 鉄骨が空を切る。
「こいつの回避動作…知っているぞ…」
 グラムには見覚えのある動きだった。
「こいつの攻めのキレ…覚えてるぜ!」
 敵機が右手に装備されたパイルバンカーを撃ちこんできた。
 グラムはパイルを避け敵機の腕に沿って機体を回転させて、鉄骨で殴り付ける。
 鉄骨が、敵機の肩装甲をかすめ、装甲がへこむ。
「この動き! やっぱ機甲体術か!」
「一瞬だが見えたぞ…炎と門のエンブレム…」
 機体がすれ違う間に二人は互いを感じた。
 もう一度、正面からぶつかり合う。
 双方ともに攻撃を繰り出すが攻撃は当たる事無く、寸止めされていた。
 グラムが無線回線を開く。
「久しぶりだな…『ヘルゲート・ビンセント』」
「それはこっちの台詞だ。『ヘルファイヤー・グラム』」