王立図書館蔵書
5日目 しずか
この前までぼくはお城でくらしてた。でもある日ぼくはマオウとであった。気づいたら、いつのまにかぼくはマオウのお城にいたんだ! マオウもぼくが急にあらわれてびっくりしてた。とりあえず、ぼくはホリョとかいうのにされることになった。
ぼくは最初はこわくてずっと泣いてばかりいた。こわかったしお城にかえりたかった。でもだれも助けてくれなかったし、ぼくが泣くとマオウはいらいらしたから、ぼくは泣くのをやめることにした。
退屈だとマオウにいうと、マオウはぼくにノートをくれた。暇なら黙ってらくがきでもしていろといった。だから、ぼくは今日から日記をかくことにした。
12日目 おこってない
ぼくの名前は楓なのに、お城のみんなはぼくをオウジと呼んだ。何度も違うっていったのに、ぼくはオウジなのだと母上も召使いもみんないった。でもマオウはぼくを楓と呼ぶ。どうしてと聞いたら、「うやまう気がないから」といった。「うやまう」ってどんな山だろうとぼくは思った。
あと、マオウはマオウだけど本当は浅葱だといった。だからぼくは今日からマオウを浅葱と呼ぶことにした。浅葱という文字を浅葱におしえてもらって、日記にかくために何度も練習した。浅葱。浅葱。もうおぼえた。
13日目 いたそう
浅葱はどうしてマオウなのってきいた。浅葱は「みんながそう呼ぶから」っていった。ぼくと同じだ。
浅葱はふつうの人間だけど、いっぱいまほうを使えたからまほうを使えない人にこわがられて、ちいさいころに町を追い出されたんだって。浅葱はちょっとだけいたそうな顔してた。どこかけがしたのかな。
36日目 いじわる
退屈。浅葱はいつもむずかしそうな本をよんでる。表紙にはみたこともない文字や絵がかいてある。浅葱はいつも本を読んでるから退屈じゃない。でもぼくは退屈だから、「退屈」と浅葱にいった。外にでて、ウサギを追いかけたり鬼ごっこをしたりしたくなったから浅葱にそういったら、「やれるものならやってみろ」って浅葱はいった。
ぼくははじめて浅葱の部屋の外にでた。部屋の外はロウカがあって、いっぱい部屋がならんでた。階段もいっぱいあって、どれが外への出口なのかぜんぜんわからなかった。ぼくがいたお城とどっちが広いかな。
ぼくはすぐに迷子になって、浅葱の部屋を探してうろうろしてたら浅葱が迎えにきてくれた。浅葱はちょっとフキゲンな顔で「帰るぞ」っていってぼくの手を引いて部屋までつれていってくれた。
浅葱のおうちは広かった。もうとうぶん一人で部屋からでないようにしよう。
でも、こんなに広いおうちに一人ですんでたらぼくならちょっとさみしいな。浅葱もぼくがくるまでさみしかったのかな。
45日目 こまってる
浅葱の本を並べてあそんでたらねずみがきた。でも浅葱の本でお城をつくってたからねずみを追いだそうとしたらねずみがかんだ。いたかったし、ねずみが怖くなったから、ひさしぶりにぼくは泣いた。
ぼくが泣いたら本をよんでた浅葱が少しびっくりして振り向いた。「うるさい。どうした」ってきくから、ねずみがかんだってぼくはいった。浅葱はすぐにねずみをまほうでつかまえて、どこか遠くにやってしまった。
これからは泣く前に浅葱にいえと、浅葱はいった。それからまほうでアメをだしてくれた。あまかった。やっぱり浅葱はすごい。こんなに浅葱はすごいのに、町のみんなはどうしてちいさい浅葱をいじめたんだろう。
62日目 かなしい
めずらしく浅葱はおでかけした。夕方おそくにかえってきた。ぼくはちょっとさみしかったけど、浅葱がくれたパズルで遊んでいい子におるすばんしてた。
帰ってきた浅葱はフキゲンそうだった。おかえりっていったら、浅葱は「お前は元気だな」といった。
しばらく浅葱はぼくのパズルをのぞきこんで、ぼくがうまくできなくて困ってたピースをはめてくれた。それから浅葱は「ユウシャに友人がころされた」っていった。「ころされたってなに?」って聞いたら、「もう会えないってことだ」と教えてくれた。それはちょっといやだなと思った。
浅葱は、浅葱の友達もいろんなまほうが使えたんだといった。
浅葱はなんだかかなしそうだった。だから、ぼくもかなしくなった。
75日目 すごい
今日はほうじょうさいの日らしい。野菜やくだものがたくさん食べられるのを、カミサマに感謝する日なんだって前にユウシャのおじさんがいってた。この日はみんな楽しそうだから、ぼくはこの日がだいすき。浅葱にお祭にいこうっていったら、やっぱり浅葱はだめっていった。ぼくがちょっとしょんぼりしたら、浅葱はまほうでお花と野菜とくだものをちょっとだけ出してくれた。でも「音楽は出せないからがまんしろ」っていった。
だからぼくは浅葱におうたをうたってあげた。浅葱は本を読みながらきいてた。きいてたら、いいと思う。
やっぱり浅葱のまほうはすごい。
97日目 へんなの
浅葱がまた、ぼくに「城に帰りたいか」ってきいた。ぼくは浅葱といっしょがいいっていった。
だって、ぼくの父上と母上には玉蘭おねえさまがいるけど、浅葱にはぼくしかいないんだ。浅葱が一人ぼっちになるのはやだから、ぼくは一緒がいいっていった。浅葱は「そうか」っていって、ぼくの頭をなでてくれた。
それから、浅葱はどこかへおでかけした。「どこいくの」ってきいたら、「ユウシャとあってくる」っていった。へんなの。ぼくの友達とおなじ名前だ。それと、「なにがあってもここでおとなしくしてるんだぞ」とつけたした。
さっきからずっとお部屋が揺れてる。ちょっとこわい。きっと台風がきたんだ。浅葱が早くかえってくればいいのに。
もうすぐこのノートもいっぱいになっちゃうから、浅葱が帰ってきたら日記を見せてあげよう。それで、すごいでしょって浅葱にじまんして、新しいノートをまほうでだしてもらうんだ。
ぼくがいっぱい字をおぼえて、いっぱい日記を書いたことをしったら、浅葱はまたぼくの頭をな