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お弁当と夜景と君。

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晋作の提案をあっさり受け入れ、2人は深夜の車に乗った。
後部座席には、2つの弁当箱は座っている。
晋作はそれを手に取ると直彦に手渡した。
「はい、直彦さん。」
「ん〜。ありがとう。」
直彦はそれを受け取りふたを開けた。
その中には、ロールパンにウインナーといったホットドックと果物が入っていた。
直彦は言葉を失う。
晋作が作ったとは思えないほど美しく美味しそうな出来だったので。
「あ・・・、嫌だった・・?」
直彦は慌てて
「美味しそうじゃん。晋作君が作ったとは思えないできだよ。」
といって笑った。
「よかった〜。じゃあ是非食べて。」
晋作はほっとした口調になった。
直彦は1つを手に取ると、食べ始める。
「・・・どう?」
「おいしいよ!すごいね〜。」
「本当!?よかった。」
2人で笑いあう。
しかし、直彦はあることに気が付いた。
「晋作君は食べないの?」
晋作は困ったように笑う。
「え・・・、こっちは・・。」
そう言って、視線を泳がせている。
「何で?そっちのお弁当見せてよ〜。」
そう言って、直彦はなおも食いつく。
「ちょっとだけだよ・・。」
晋作は手袋を外した。
すると、10本の指にはそれぞれ絆創膏がたくさん貼られていた。
「失敗しちゃったやつなんだけど・・・。だからさ、後でこっそり食べようかな〜なんてね。」
晋作はさらに困ったように笑った。
見るとそちらは焦げて、いかにも失敗作という感じを感じを醸し出している。
直彦は何気なくそのうちの1つを食べた。
苦い味が口の中に広がったが、食べられないことは無い。
「あ、直彦さん!そっちは失敗ですよ!!不味いよ!!!」
「大丈夫。こっちだって美味しいよ。自信持ってよ〜。晋作君らしくないじゃん。」
直彦はそう言って、笑う。
「ですかね・・・?よかった。」
困ったように曇っていた顔が一瞬にして晴れた。

2人はその後も買い物をしたりして、日はすでに傾いていた。
「じゃあ、帰ろうか〜。家の近くでご飯食べればいいし。」
「そうだね。じゃあ帰ろうか。
晋作はそう言って運転席へつく。
さっき来た道を車で戻っていく。
事故もないようなので、スムーズに車が進んでいる。
やがて、公所の金属系の工場が見えてきた。
「公所のシンデレラ城(笑)」と言われるように綺麗に光っていた。
作品名:お弁当と夜景と君。 作家名:私は誰?