Gothic Clover #05
見七を殺した奴は……教師というよりも歌劇団か倶楽部のどちらかに所属していて、普段は教師をやっている人物、と言った方がいいだろう。見七の頭を素手で潰すなど、普通の人間に出来たものではない。んで、罪久を殺した奴は倶楽部の方に所属している刃物遣い、といったところだろうか? うーん、なんか収まりがつかなくなってきたな。
っと、いつの間にかお湯が沸騰していた。ボクは火を消してコーヒーをいれる。
コーヒーをいれながらも考え事をするが、なかなかまとまらない。うーん、少し体でも動かそうか。
ボクはテレビを消して腕たてを始めた。規定外の殺人鬼と遭うことが多くなったので、毎日のトレーニングをハード化しているのだ。何年か前以降、こういうトレーニングは気が向いた時にやるぐらいだったので、いざ本格的に始めたら自分の身体のスキルが予想以上に低下していて驚いた。最近はまた戻りつつあるが、あの殺人組合と殺人集団の人間にはまだ及ばない。
腕たて、腹筋、背筋、脇腹、腕、脚を鍛えた後に柔軟運動。その後はナイフ投げ。前までは罪久がいたので実戦訓練が出来たのだが(もちろん、ナイフの代用に新聞紙を使って)今となってはしょうがない。
ボクは板で作った的にナイフを投げる。
カコッ
ナイフは的の真ん中に突き刺さる。
罪久は言っていた『急所に当たる当たらないはどうでもいい。いや、急所に当たるなら尚いいんだけど、まずは投げる疾さを鍛えるんだ。当てる場所はどこでもいい。どこかに刺されば少なくともダメージになる。相手より疾く投げて一刹那でも疾く相手にナイフを打ち込み、先手をとることだ』と。
ボクは投げる。より疾く、より正確に。
あらかた投げ終わったところでボクはさっきいれたコーヒーを飲む。気付けば汗だくだ。ボクはストーブを消して窓を開けた。乾燥した風が部屋の湿気を吸収してくれる。
……風呂にでも入るか。そして今日はこのまま寝てしまおう。そして、明日また落ち着いて考えよう。
ボクは窓を閉めると服を脱いで洗濯機に放り込む。ささっとシャワーを浴びた後にボクはベットに入り込む
疲れたよ、本当に。心身共に。いろんなことが短期間にありすぎた。
「展開が早すぎるんだヨ」
それは自分に対する愚痴だった。
おやすみなさい。
作品名:Gothic Clover #05 作家名:きせる