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Gothic Clover #05

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 よかった……涙目になって嫌がっていたらどうしようかと思った。
 …………。
 ……それはそれでいいかもしれないとか思った自分がいたりして。
 自粛。
 ボクはスープ皿にシチューを盛る。

「あれ? 少なめですね御主人様。ダイエットでもしてるんですか?」
「イエ、ただ食力が無いだけデスヨ」
「……ま、無理して食べて欲しいわけじゃないですけどね」
「すみませン」

 でも実際、ここ最近食力が無いのは本当だった。一応食べるようにはしているのだが、最低限倒れない程度、といった感じだ。食べなきゃいけないとはわかっているのだが、食べたくない。

「いただきマス」

 しかし折角作っていただいたのだ。食べないわけにはいかない。ボクはスプーンを握ってシチューをすくう。ふむ、結構おいしい。

「そういえば御主人様」
「ム?」
「見つかりましたか? あの……兵器」
「ボクがそれについテ聞かれるまで何も言わない人間ダト思いますカ?」
「……ですよね」
「マダ調べている途中デス。その様子だと石砕サンも情報を掴めてないみたいデスネ」
「はい、残念ながら」

 石砕さんは溜め息をつく。
 一応これまでのことは石砕さんには話しているし、情報も共有している。
 それでもやはり、見つからないのだ。

「さすが、今までその存在すらも隠し続けてきただけありますね。尻尾さえも掴めません」
「デスネ」

 ボクも相槌を打つ。
 だとしても、どうして見つからないのだろう。今回は前回に比べて手掛かりも多いはずだし、狭史さんの協力も石砕さんの協力もある。
 なのに、犯人は捕まらない。分からない。判らない。
 まだ手掛かりが少ないのか、それとも物語が進展してないからなのか、はたまたボクが何かを見落としているのか……。
 解らないなぁ。

「ア、そうダ。石砕サン」
「なんでしょうか御主人様?」
「明日学校無いんデ、また出掛けまス」
「はい、わかりました」
「昼食はいりません。帰るのはいつ頃になるかわかりまセンが夕食までには帰ってくると思うんデ」
「じゃあまたご飯作って待ってますね」

 石砕さんはガッツポーズをする。
 このようにボクが石砕さんに自由時間を設けるのは、ボクの意図的な石砕さんに対する配慮だったりする。その方が石砕さんも行動を起こしやすいと思うからだ。

「つかぬことをお聞きしますが、御主人様」
「ハイ?」
「御主人様は明日、どこに行かれるのですか?」

 答える必要性を感じられない質問だった。
 でも、答えても別に損得は無いと思った。
 なので答えた。

「言うなれバ、剣術遣いのギタリストの家ですヨ」

作品名:Gothic Clover #05 作家名:きせる