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イミューンシステム

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1章「空虚の顎」



「GAMEOVER」の文字が目の前の空間に現れ。その下には今俺がはじき出したスコアが並んでいる。右手を払いそれらの文字を吹き飛ばすと、そのまま強く掌を閉じる。
 空が壊れた。
 完成したジグソーパズルをバラバラにするかのように、空が、山々が、今まで自分が立っていた大地すらも崩れさっていく。
 世界が壊れ果てて現れた虚空に佇む俺の前に、システムメッセージが浮かび上がった。
――「RED out BATTLE システムアウト」
 そのメッセージを最後に虚空すらも消えると、PCC(Personal Control Computer)のメイン画面が戻ってきた。
 視界の隅には「RoBシステムログーFinishtask」と表示されているウィンドウが点滅している。そのウィンドウを指でつまんだままトラッシュボックスへと放り、同時にシステムデータの全消去を指示。
 前評判からして今期ナンバーワンのビッグタイトルと言われていた異世界FPSゲーム「RoB」だったが、俺が満足感を覚えることは最後までなかった。
 キャラクターの種類、フィールドのバリエーション、戦略と運のバランス、その他諸々、システム面で問題が在ったとは思わない。眉間を打ち抜かれたモンスターから飛び出る血しぶきや、手に残る打った銃の反動、漂着した異星の生態系に至るまで、ゲーム世界の環境の作り込みで粗は一切ないと断言できる。システム、グラフィックからサウンドまで、間違いなく今までのゲームの最高水準であった事は否め無い。
 にも関わらず、なぜ俺は満たされてないのか。それは俺自身にもわからなかった。
 PCCのメイン画面に強制的にウィンドウが開かれた。
――「識別ID38485bbo9 福見マルセオ セントラルよりメッセージを受信」
――「ID38485bbo9 基本労働期間開始まで残り24時間 クラスB?2 αタワー47フロアにて24時間後に労働を開始」
――「ID38485bbo9 基本労働期間開始まで残り24時間 クラスB?2 αタワー47フロアにて24時間後に労働を開始」
 基本労働の定期アナウンスが画面にて表示される。
作品名:イミューンシステム 作家名:武倉悠樹