variable―ヴァリアブル― 1
適性試験
利夜が帰宅してから10分。
洗いものや片付けは利夜が手伝ってくれたのですでに終わっている。
現在、自室にて<ヴァリアブル>の開封作業中である。
近頃売られている新品のゲームは大抵、透明なフィルムで
包まれどこかに開け口が付いているタイプが一般的だが、
この<ヴァリアブル>は金属の箱に入れられており、
なんだか限定版パッケージを買った気分だ。
金属の箱はがっちりと閉じられており開けるのが一苦労である。
開かないからといってむりやりこじ開けるわけにはいかないので
隙間にマイナスドライバーを差し込んで少しずつ開けていく。
しばらくそれを続けていると、鈍い音を立て箱の接合が剥がれた。
「ふぅ、やっと開いたか。
それにしても・・・、
もう少し開けやすい入れ物にしてほしいもんだな」
傷がつかないよう慎重に箱を開けると、
ディスクと説明書らしき薄っぺらい紙が1枚入っていた。
紙には、
『ご注意とごあいさつ
このたびはプラン<ヴァリアブル>に
ご志願いただきありがとうございます。
このプランではあなたさまに多大なるご苦労、
ご負担が掛かる可能性がありますがなにとぞ、
ご理解とご協力をお願いいたします』と書かれていた。
「これはまた凝った作りだな。
説明書代わりに誓約書を連想させる物語の冒頭なのかな?
・・・まあいいや。とりあえず起動しよっと」
ディスクをゲーム機にセットしスイッチを・・・・・ON!!!
作品名:variable―ヴァリアブル― 1 作家名:ファーストウッド