小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
ファーストウッド
ファーストウッド
novelistID. 9116
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

variable―ヴァリアブル― 1

INDEX|2ページ/14ページ|

次のページ前のページ
 

買い物も終わり利夜といっしょに自宅へと帰り、
買った物も冷蔵庫にしまった。
もちろん<ヴァリアブル>も自室へ置いてきたところだ。
 「さてと、作るかな♪」
 「ねえねえエコ、煮込みハンバーグがいいなぁ」
 「煮込みだと少し時間がかかるけど・・・それでも大丈夫?」
現在11時56分、自分は朝ごはんを食べたから大丈夫だが、
利夜はお昼を食べるために朝は食べていないと言っていた、
さっきから何度もお腹が鳴っているのが聞こえてくるので利夜もそろそろ限界だろう。
 「うー、時間がかかるのは辛いなぁ。
  でもでも・・・煮込みハンバーグ食べたいし・・・」
 「じゃあさ、また近いうちに煮込みは作ってあげるから、
  今日は普通に焼きでどう?」
 「え!ほんと!?」
 「うん、ほんとほんと。
  日にち指定してくれればその日に作るからさ」
 「よしわかった、じゃあ明日またお昼に作ってよ」
 「え?そんな連続でいいの?」
 「いいのいいの、だって早く食べたいんだもん。
  今日の夜でもいいくらいなんだから」
 「わかったよ、じゃあ明日お昼に作って待ってるから
  いつでも好きな時においでよ」
 「やったね。明日が楽しみだよ」
そうとううれしいのか普段はあまりはしゃいだりしない
利夜が満面の笑みをうかべはしゃいでいる。
 「じゃあさっそく、ハンバーグの種づくり始めるかな」
その後、調理中に何度か利夜がつまみ食いに現れた以外は
何事もなく料理することができた。
      *
 「おまたせ利夜、できたよ」
 「うぅー・・・、もうダメかと思った」
ぐったりとリビングのソファにころがっていた利夜は、
声をかけるとのそのそと起き上がって机に座った。 
 「ソース2種類あるけどどっちがいい?」
 「なにソース?」
 「トマトとデミグラスだよ」
 「うーむ、どっちも食べたいなぁ」
 「ハンバーグが1人4つずつまであるからどっちも食べれば?」
 「ほんと!じゃあどっちもー」
 「はいはい、でも食べすぎないようにね。
  デザートに買ったプリンもあるんだから。
  まあ、利夜が残したら僕が食べちゃうからいいけどね」
 「大丈夫、エコに私のプリンは渡さないから」
 「そうか、それは残念だな」
 「ねーねー、そんなことはいいから早く食べようよ」
 「ああ、そうだね。じゃあ持ってくるからちょっと待ってて」
 「うん♪」
      *
今回のメニューは、ライス、サラダ(レタスのみ)、
ハンバーグ、そしてプリンの4品となった。
 「改めて食べてみるとこのトマトソース、
  オレガノ入れ忘れてたよ。
  それにハンバーグ、パン粉が足りなかったな」
 「そんなことないよ、・もぐもぐ・・すっごくおいしいよ」
 「食べながら話をするのはやめましょう」
 「はーい」
 「まあ、明日はこの失敗を活かしておいしいの作るから」
 「それは楽しみですな、期待してるよエコくん」
 「わかりましたよ。
  さて、僕は食べ終わったからプリンいこうかな」
 「あ、私ももう食べ終わるからいっしょに持ってきて」
 「はいはい」
           *
プリンが二つそれぞれ種類が違う。
一方はザ・プリン、シンプルに言うなら普通のである。
そしてもう一方は黒ゴマプリンである。
普通のほうは僕が、黒ゴマは利夜が選んだものである。
お互い甘い物好き同士、はんぶんこ、
という取り決めで買ってきたものである。
 「はーい、半分ずつにしてきたよー」
 「ん~、やっぱりプリンはお皿に出して。だよね♪」
 「そのとおりですな~。何というか、
  こうするだけで3倍はおいしくなった気分だよね」
 「そうそう♪」
僕も利夜も久しぶりのプリンを前に少々興奮気味である。
 「まあそれはおいといて、
  今日はなんと!ホイップクリームを用意してあります」
 「わーい。さっすがエコ♪」
 「はいこれ、袋に入れてきたから利夜からトッピングどうぞ。
  でも僕の分はちゃんと残してよ」
 「わかってるよー。あっそうだ、
  エコの分もトッピングしてあげるよ」
 「いいよいいよ、自分でやるよ」
 「いいから、ちょっとあっち向いてて」
 「そこまで言うなら・・・」
僕は利夜に言われた通り反対側の虚空をただただ眺めた。
背後からのせっせとトッピングしてます的なオーラを
浴び続けることおよそ3分。
 「できたぁー♪」
利夜の完成の合図が出たので再びテーブルに向き直ると、
そこにはプリンの上だけでなくお皿全体を使って
大きくかわいらしい文字で『ありがとう』と書かれていた。
 「えへへ、ちょっと雑かもしれないけど、
  ここに書いてある通りだよ」
 「あはは、どういたしまして。
  でもそこまで感謝されるような事した覚えはないけどなぁ?」
 「そんなことないよ。わかってるんだよ、
  今日エコはゲーム買いに行ってて、
  本当はその買ってきたゲームがとってもやりたいんだってこと」
 「まあそれは事実だけど、
  家に帰ってからお昼はこうやって作るつもりだったし、
  そんなに手間が増えたわけでもないし、
  ゲームはお昼以降にやろうって考えてたから、
  全然かまわないよ」
 「それでもちゃんとお礼はしたかったんだ。
  だから、あらためて・・・。どうもありがとうエコ」
面と向かってお礼を言われ、少しばかり照れくさかった。