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ファーストウッド
ファーストウッド
novelistID. 9116
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variable―ヴァリアブル― 1

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第1章 事の始まりはいつも日常



「さて、そろそろ頃合いかな」
朝9時半、僕は軽い足取りで自室を出る。
「ちょっと出かけてくるから~」
母親に一声かけ、早々に家を後にした。
      *
現在10時02分、少し遅れたがまあいいだろう。
僕、彩涼工児(さいりょうこうじ)は、
ゲームショップ<団塊の世代>略して<団世>のレジにて、
予約してあった<ヴァリアブル>という名の家庭用ゲームを購入しているところである。
 「感謝しろよ、これ仕入れるの苦労したんだからな」
<団世>の店主石再世(いしさいせ)さん、
通称石さんは褒めちぎれとばかりに胸を張る。
 「うん、ありがとう石さん。
  それにしてもよく手に入りましたね。これ」
 「ああ、俺もお前に頼まれた時は無理だと思ってたんだがな。
  3日前のことだが俺のブログにレスがあったんだよ。
  <ヴァリアブル>をお探しの方にってな。
  で、そこに扱ってる業者が書いてあってな、
  メールしたらこの1本のみ手に入ったわけよ」
 「そうだったんですか、じゃあそのレスくれた人に感謝
  しなくちゃいけませんね」
 「そうだな、だがそれ以上に俺に感謝の言葉を」
 「ありがとうございました」
 「まあ、またなんかあったら俺を頼ってもかまわないぜ」
 「はい、ではまた」
<ヴァリアブル>を大事にバックにしまうと店を出る。
      *             
 「さて、夕飯の買い物でもするか」
僕は行き付けのスーパーを目指し歩を進めた。
 「あーっ、やっと見つけたー」
ふと、後方から聞き慣れた声がする。
振り返ってみると予想通りの少女の姿があった。
 「やあ、利夜どうしたの?」
彼女の名前は、舞橋利夜(まいばしりよ)。
僕の幼馴染でお隣さんである。
 「どうしたのじゃないよ~、エコを探してたんだよ」
利夜の言うエコというのは僕のニックネームである。
 「探してたって・・・、何か用事?」
 「まあ用事かな♪」
 「それで、なにかな?」
 「一緒にお昼食べようかなって」
 「うん、それはいいんだけど、
  今から夕飯の買い物しようかなって思ってたもんでね、
  それが済んでからでもいいかな?
  1回家に帰ることになるけど・・・」
 「あ、うん、構わないよ」
 「じゃあさっそく行こうかと思うけど利夜はどうする?」
 「私もついてく」
即答だった。というわけで利夜を連れスーパーへと歩を進める。
      *
スーパー<地球規模>略して<地模>は店は小規模だが、
品数が多く、野菜や肉・魚の鮮度がいい事もあり、
この近所では密かに大人気の私営店である。
 「ところでエコは今から何買うの」
 「そうだね~・・・。
  このチラシに載ってる豚のミンチは買うつもりだから、
  それをメインとして使えるハンバーグの材料でも買おうかな」
 「ハンバーグかぁ、いいなぁ、食べたいなぁ」
利夜はちらちらとこちらを見ながら「食べたい」とつぶやいている。
 「そうだ、そんなに食べたいならさ、
  お昼、家で食べない?ハンバーグ作るからさ」
 「え、ほんと!?やったぁ。ぜひお邪魔させていただきます」
 「よし、そうと決まったら買うものは確定したから、
  ぱっぱと買ってきちゃうよ」
 「あ、私もついてく」