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The SevenDays-War(緑)

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(一) 警 鐘


 七日間戦争と呼ばれるその戦いは、王都エルセントとその南西の森に住む蛮族との間に起きた戦争である。
 公には蛮族側の侵略に対抗したと記されているが、事実は違う。蛮族の森に眠るという財宝を欲した貴族たちによる侵略・略奪でしかない。
 そして、その事実を知る『人間』はほとんどいない。

 王都エルセントの南西に、ネテラウィスクという名の村がある。
 蛮族の住む森の畔にひっそりと存在するその村は、エルセントから南に伸びる街道は東に遠く、エルセントから西に伸びる街道は遥か遠い北にある。
 特産品や希少価値の高い何かが採取できるわけではないため、その存在を知る者は皆無である。
 数ヶ月に一度、ふらりと迷い込んでくる者たちを除けば、外部との接触は皆無であり、その村の性格は極めて閉鎖的だ。
 森に住む蛮族の脅威に晒されながらも、そこに住む人々は決して村を離れることはなかった。

 ネテラウィスクには裏の顔がある。
 村の近くには多数の毒草が存在しており、その採取においてのみ、村はその存在価値を持つ。
 この村は毒の開発・生産基地であり、毒術師たちの村なのだ。毒の用途などは、敢えて挙げる必要もないだろう。

 ネテラウィスクに、珍しくも来訪者が現れた。それは来訪というより、発見と呼ぶ方が相応しい訪れ方であった。
 男の名はイークウッド。エルセントで薬師を目指し修行する若者だった。薬草を探して森の奥地に迷い込み、行き倒れたところを発見されたのだ。
「うあ……気持ちわりぃ……」
 それが、目を覚ましたイークウッドの第一声だ。
「おや、ようやくのお目覚めかい」
 いまだハッキリとしていないイークウッドの意識に届いたのは、艶のある口調の女性の声だった。
「ここは?」
「ここは森の畔にある村。アンタ、行き倒れていたんだよ」
「俺は助かったのか……?」
 イークウッドは水が注がれた木製の碗を受け取ると、かぶりつくように水を飲み干した。そして、すぐさま次を要求する。
 そうして二杯目を飲み干した直後、イークウッドの腹が、ぐるる、と下品な音を鳴らした。
「あはっ やっぱりそうだよね。少し待ってなよ、何か作るから」
「俺はイークウッド、エルセントで薬師の修行をしている。……助かった。ありがとう」
「いいのよ、アタシのためでもあるんだから」
「?」
「アタシはユノフィア。ユーノって呼ばれてる」
作品名:The SevenDays-War(緑) 作家名:村崎右近