The SevenDays-War(緑)
「自分がなぜ生まれてきたのかを探す旅路。それが人生というものじゃ。いまここで答えを伝えることもできようが、焦らずとも答えを知るときは近づいておる」
「ずっと、僕は七日間戦争の戦災孤児なのだと思っていました。ですが、僕だけがニアライト家の養子となり、ここ大聖堂に住まわせてもらっています。その理由が分かりません。才能があった、優秀だった、そんな理由であるはずがない。僕は大聖堂に監視されていたんじゃないですか? だとすれば、神の敵を討つ黒炎の騎士に追われたのも頷けます」
「ナインよ。落ち着くのじゃ」
「……はい」
大司教は一つ咳払いをする。
「近くに置いておきたいと考えたことは確かじゃ。いまはまだ知るときではない。いづれすべてを知るときが訪れよう。そのときはもうすぐそこまで近づいておる」
「大司教様、一つだけ、これだけは教えてください」
「言うてみよ」
「七日間戦争の原因は僕にあったのではないですか?」
大司教は目を大きく見開いた。
すぐに安堵の表情に変わり、笑う。
「ほっほっほ。お主が心配しておるのは、そういうことだったのじゃな。安心したわい」
ナインは、自身が災いを呼ぶ存在であることを恐れていたのだ。
自分という存在が、周囲を巻き込む災いを起こしているのではないかと考え、恐怖したのだ。
「あの戦いの裏で起きていたことは、お主にも知る権利があろう」
大司教は顎鬚を二度しごく。
「七日間戦争に別称があることは、お主も知っていよう。それは、時を同じくして起きた二つの戦いを区別するためのものなのじゃ」
「二つの戦い……ですか」
「どちらもお主が原因で起きたものではない。お主は巻き込まれたのじゃ。まずは七日間戦争の話をしよう。その後に、ワシの口から答えを望むのであれば、ワシが知るすべてを伝えよう」
ナインはゆっくりと力強く頷いた。
「いまから四年前ほど昔の話じゃ……」
七日間戦争。
それは四年前に起きた戦いの物語。
騎士を目指し、騎士に憧れ、そして騎士を憎んだ男の物語だ。
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― 君にこの声がとどくように ―
〜 別章 The SevenDays-War 深緑の英雄 〜
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作品名:The SevenDays-War(緑) 作家名:村崎右近