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The SevenDays-War(緑)

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 ―― やめろ! 殺すな!
 叫ぼうとして、声を飲む。
 門が開かれてしまうから、という理由でしか、生命が奪われてゆくのを制止することが出来ない自分に気付いてしまったからだ。
 愕然とするアーノルドの腕の中で、ウマの身体が大きく跳ね上がった。
「あああああ……!!」
 ウマは獣のように吼える。その声に呼応するように、ウマを中心とした地面に七芒の方陣が描き出された。
 程無く、頭上約十メートルの高さに煙のような物質が集まり出す
 本能が警鐘を乱れ打つ。逃げろ、死ぬぞ、と警告を発する。
 人型、尻尾を持った獣型、その中間の半獣型、蛇型、それらに翼を加えた分類不可能な型。
 そのすべてが、漆喰で塗り固めたような白一色の体躯であった。
 アーノルドは、彼らが千年前に封印された古代神たちであることを悟る。
「ウマ! 目を覚ませ!」
 アーノルドの呼び掛けによって意識を取り戻したウマは、周囲の状況を瞬時に理解した。
 すでに数え切れないほどの古代神が出現してしまっている。
「殺して! アタシを! いますぐ!」
 ネテラウィスク周辺には、五百人ものエルセント人がいる。放っておけば、その数だけの古代神が出現し、あらゆる大陸の国を焼いたという千年前の“魔大戦”が再び始まってしまう。
「そんなことはできない」
「アタシの心臓を貫いた刃が、彼らに対する切り札になるの!」
「そんなことはできない!!」
「アンタ、騎士になったんだろ!?」
「ユーノ……っ!」
 七年もの間、密かに恋慕の情を抱き続けていた、挫けぬ心という名を持つポポマの女性。
「何も出来ない小市民じゃないってところ見せてみな!」
 アーノルドは、自身の口でウマの口を塞ぐ。
 そして、腰の短剣を鞘から引き抜き、心臓へと突き刺した。
「たた…かいを……とめ…て」
 それがウマの最後の言葉となった。
 ウマの死によって七芒の方陣はその光を失い、扉は閉ざされた。
 しかし、出現した古代神たちは百を下ることはない。

 アーノルドはゆっくりと立ち上がる。
 ルドラに剣の指南を受けて以来、アーノルドに匹敵する腕を持つ者はいなくなった。だからいまは、ルドラが戦いを求めていた気持ちが少しだけ分かる。
「ルドラ、悪いがこればっかりは譲れねぇな」
 アーノルドはウマの血に染まった短剣を構えた。
作品名:The SevenDays-War(緑) 作家名:村崎右近