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The SevenDays-War(緑)

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「来たぞ! 奴らだ!!」
 扉を開けた瞬間、アーノルドの耳に急を告げる叫びが飛び込む。
 それとほぼ同時に、無数の矢が文字通り雨あられとなって降り注いだ。アーノルドは、矢を避けながらもその中に火矢があることを確認する。
 火はいとも簡単に平静を奪い去る。そして、その代わりに恐怖を置いてゆく。
 織り交ぜられた火矢によって村中に火災が発生し、あっという間にパニックが発生する。建物の中に留まれば焼死、外に飛び出せば矢の雨に貫かれる。どちらを選んでも結果は同じ、という最悪の二択を迫ることで、冷静な判断力を奪うのだ。
「定石通りの急襲だな。ウマ、どうするんだ?」
「大丈夫。村にはポポマの戦士しかいないから、簡単にやられたりしない。でもアタシが居ると戦えないから、村が襲撃された場合はすぐに逃げることになってる」
「外は矢の雨だぞ?」
「地下道を通って逃げるのよ」
 ウマは奥の部屋にある寝具を動かし、その下に隠されていた入口を開いた。その先には平行感覚を奪われるほどの闇が漂っている。
「ヤールーが導いてくれる。行きましょう」
「なるほどな。だが俺は行かない。蓋をする者が必要だ」
「必要ないわ。奴らは地下道の存在なんてとっくに知ってる」
「なんだって?」
 ウマは強引にアーノルドの腕を掴んで、女の細腕とは思えぬ力で地下道に引き込んだ。
 地下道に入ってしばらくの間なだらかな下り坂が続く。
 中には太陽の光は差し込まず、火も灯されていないため、全く明かりがない真の闇となる。
 アーノルドは、ウマに手を引かれて途中で何度も躓き体勢を崩しながら、ゆっくりと進んでいた。
「全部の建物に入口があるの。全員無事に逃げられたみたい。家畜は連れ出せなかったけど」
「分かるのか?」
「ヤールーが教えてくれる」
 闇の中、ウマの笑う気配だけが伝わってくる。
 アーノルドは、生きて戻れたら両親の墓参りに行こうと決意した。
作品名:The SevenDays-War(緑) 作家名:村崎右近