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The SevenDays-War(緑)

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「欲に駆られた馬鹿どもの尻拭いをしなければならんのか……」
「我々が動かなければ、農民が被害を受けることになります」
 あくまでも淡々と。
「今夜もまた村が焼かれると言うのか?」
「順番的には」
「村を焼いた奴らを追跡して集落の場所を……」
 アーノルドは力任せに机を叩いた。
 それが行動開始の合図であるかのように、事務官はアーノルドの執務室を出ようと歩き出す。

 何十年も昔、エルセント南西に広がる大森林が、まだ蛮族の森と呼ばれていなかった頃、魔獣相手に腕試しをしようと森に入った者が、魔獣と間違えて蛮族を攻撃してしまった。その者が蛮族の死体をエルセントまで持ち帰ったことで、更に多くの者が大森林に足を踏み入れ、蛮族を探し回った。
 そして始まったのは報復だった。
 蛮族の襲撃によって、大森林に隣接する村が幾つも焼かれた。
 それから長い年月を経て、森の奥地に足を踏み入れさえしなければ危険ではないということが判明したのだ。
 現在では、蛮族相手にこちらから攻撃を仕掛けるということが、どれだけ愚かなことなのか子供でも知っている。

 その頃から現在に至るまで、蛮族の集落は発見されていない。
 蛮族は見世物として高い値が付く。
 時折、動物や魔獣を捕らえるための罠に、蛮族が引っ掛っているのだと業者は口を揃えるが、動物や魔獣を捕らえるための罠ではないことは明らかだ。
 しかし、エルセントには蛮族を捕らえて売買してはならないという法はない。
「一番最初はどうやって蛮族の集落を見つけたんだ?」
「それを調べる前に、我々にはやるべきことがあるはずです」
 事務官が部屋を去ったのち、アーノルドはルドラの言葉を思い起こした。

 ―― 戦いが始まる。この国を離れよ

「逃げるなんて冗談じゃない」
 アーノルドは歯を強く噛み締める。
「俺は、俺は騎士になったんだぞ!」


  *  *  *
作品名:The SevenDays-War(緑) 作家名:村崎右近