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The SevenDays-War(緑)

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(二) 戦 火


 アーノルドは馬を走らせてエルセント南部の詰め所に戻った。
 すでに太陽は赤く染まっており、まもなく夜が訪れることを告げている。
「中隊長、お帰りをお待ちしておりました。一大事です」
「何事だ?」
「今朝未明、南の街道沿いにある村が蛮族の襲撃を受けました」
「蛮族の仕業で間違いないのか?」
「……と言いますと?」
 報告していた兵士に困惑の表情が浮かび上がる。
「彼らが集団で森から出ることはない。野盗の類ではないのか?」
「なにしろ生存者がおりませんので……」
「近隣の村を探せ。逃げ延びた者がいるかもしれん。目撃者もな」
 兵士はアーノルドの命令を復唱し、部屋を離れた。
「戦いが始まる……か」
 アーノルドはルドラの最後の言葉を呟く。
 戦いが始まるとしても、背中を見せて逃げることなどできようはずがない。
 そんなことをすれば、何のために騎士になったのか分からなくなる。様々なものを諦め、決別してきたこの瞬間までの人生すべてを、自ら否定することになる。
 ルドラは言った。この国を離れよと。しかしそれは、アーノルドにとってすれば、危機の回避ではなく逃亡だ。
 拳を握り締めるアーノルドの耳に、扉を叩く音が届いた。
「どうぞ」
 開かれた扉から、長身痩躯の男が現れる。
 アーノルドの補佐をしている、この詰め所の事務官だ。
「ご報告が一つ」
 抑揚のない冷淡な調子で言葉を発す。
「村が焼かれたことなら聞いている」
 アーノルドより十年以上長く生きている彼は、微塵も表情を変えることなく言葉を続けた。
「先ほど、大森林の奥地で火災を確認しました」
「雷でも落ちたのか?」
「いえ、ここしばらくの間は雨さえも降っておりません」
「何が言いたい」
「二日前にも森林火災と思われる煙を確認しております。その数日前に、森に侵入する集団が確認されているそうです。我々の担当範囲ではありませんが」
「そいつらが森に火をつけたと言いたいのか」
「いままで蛮族の集落を発見したという話を聞いたことはありませんが」
 アーノルドから次々と浴びせられる問いに、あくまでも冷静に答えていく。
「噂に寄れば……」
 事務官は短く息を吐いて一呼吸置いた。
「蛮族の村には、黄金の財宝が眠っているのだとか」
 それを聞いたアーノルドは開いた口がふさがらない。
作品名:The SevenDays-War(緑) 作家名:村崎右近