Let's go to an amuse
「ごめんごめん、何か飲み物買ってくるからちょっと待ってて。」
冷たい風に吹かれていると、多少は気持ちがよくなった。
「吐きそ・・・。」
長い足を投げ出して、背もたれにもたれ空を仰ぎ見る。
雲ひとつ無く青い空が広がっていた。
すると、直彦がペットボトルをもって戻ってくる。
「はい、お茶〜。とりあえず、回復するまで少し座ってよっか。」
そう言って、隣に腰掛ける。
「大丈夫・・・、すぐ治るからうぇ・・・。」
「大丈夫じゃないじゃん。」
5分ほどじっとしていると吐き気もおさまってきた。
「直彦さんすっかり治りました。次のアトラクション行きましょう。」
晋作には1つの思惑があった。
此処のお化け屋敷は怖いことで有名なお化け屋敷なのでこれなら直彦に仕返しができると思ったのだ。
「じゃあ、この先のお化け屋敷行きませんか?」
「いいけど、大丈夫?」
「大丈夫ですから。行きましょう。」
晋作が少し上目遣い気味に言ったら、恥ずかしいのか少し目をそらして直彦は了承する。
さっきのコーヒーカップのすぐ近くにそのお化け屋敷はあった。
「うわ、本当に行くの・・・?止めない?」
「行きましょうよ。此処の遊園地のお化け屋敷一回入ってみたかったんですよ。」
そう言って、晋作は直彦の背中を押す。
係員の誘導で屋敷の入り口へと吸い込まれるように入った。
「それでは、冥府の旅をごゆるりと、来世で会いましょう。」
にこやかに係員に送り出されると、世界は黒一色に包まれた。
少し歩くと音が鳴った。人の笑い声や鳴き声が聞こえた。
晋作は、小さい悲鳴を出しそうになったが直彦に仕返しする為頑張って悲鳴を抑えた。
どんどんとその声が近づいてくる。
そして、広い宴会場のような部屋に出ると、人が逆さにつるされてぶら下がっていた。
人形とは思えない精巧さで血を流している。
晋作はあまりにも怖いので無意識のうちに直彦の手を握っていた。
直彦は晋作の方をちらりと見たが握りやすいように握りなおしてから黙って道に進んで行く。
「晋作君怖がりだな〜。」
「だって、うわっ!」
晋作はあまりにも怖いので目をつぶってしまった。
その手を直彦が引っ張る。晋作は恐る恐るその後をついていく。
2人の足音が恐ろしげな音と一緒に反響して消えた。
「出口まだ〜・・・・。」
「もうすぐでしょ。」
作品名:Let's go to an amuse 作家名:私は誰?