Let's go to an amuse
「えっ、ちょ、買わなくていいの?あんなに熱心に見てたのに。」
いーの、いーの。と晋作は軽く受け流すと、デパートの出口へ向かう。
駅に戻ると、丁度遊園地へのシャトルバスが到着した。
それなりに大きめな遊園地なだけあって、平日でも人がたくさん乗りこむ。
その人ごみの中にまぎれて2人もバスに乗り込む。
「松っちゃんに感謝だな〜。タダ券くれるんだもん。」
「そーだね。」
そのうち、陽気な音楽とともにバスが発車した。
バス内の人々はアトラクションが楽しみなのか、結構ハイテンションな感じが伝わってくる。
バスはまもなく遊園地に到着しした、
入り口ではたくさんの人で溢れ返っている。特に家族連れが目立つが、カップルもちらほら見える。
「はやくー!!」
子供が嬌声を上げて直彦の横を駆けて言った。
「寒いのに元気だねぇ。」
としみじみ呟いた。
「俺も楽しみで走り出しそう。」
と言うと、急に早足になって歩き出した。なので直彦は慌てて小走りで晋作についていく。
ゲートをくぐると、陽気な音楽が流れている。
その音楽にあわせて遊園地のマスコットキャラクターがダンスをしていた。
2人は人ごみの間からそのパレードを眺めた。
先頭で仮面の男が笛を吹いて歩いていた。
「あ、あの赤い服の女の子可愛いくない?」
「え、俺あの緑色の林檎持った女の子が可愛いと思うんだけど。」
パレードが終わると今までの人ごみはそれぞれ目当てのアトラクションへ向かっていった。
「何処行こう直彦さ〜ん。一番近いのコーヒーカップだけど。」
晋作が園内マップを広げて直彦に提案する。
「とりあえず、其処にしようか。込んでたら他のところにいけばいいっしょ。」
といって、コーヒーカップへ向かった。
コーヒーカップはそれほど混雑していなかったため、すぐに乗ることが出来た。
グオンという機械音と陽気な音楽が鳴り始めてゆっくりと回り始めた。
「もう少し早くしてみよっか。」
といって、直彦がハンドルを回す。
すでに早く回っているのだがさらに早くグルグルと回り始めた。
竜樹は目を回してぐったりしていた。
やがて音楽と機械音が鳴り止んで、アナウンスが終了をつげた。
ぐったりとしている晋作に手を差し出して何とか近くのベンチに座らせた。
やっとの思いで、口を開いた晋作は
「直彦さん、回しすぎ・・・。気持ち悪い〜。」
作品名:Let's go to an amuse 作家名:私は誰?