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戦え☆僕らのヒーロー!

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「コラ、二人とも今此処に居ない人物に失礼でしょ!でもまぁ…確かにあの青山くんは放送禁止な顔になってたわね。」
桃川さんがニヤニヤと僕を見る。

いやいや、それは、呆れかえって物も言えない、という表情だったに違いない。
だいたい、青山先輩のエロい顔とか想像できないなー…それどころか、エロ本読むとか、そういう性欲的なこと全て感じさせない人だ。

ふっ、と白石先輩が笑う。
「大丈夫、心配しないで。佐助くんがどんな風に君を見ていようと、何も出来ないよ。だって彼、チキンだから。」

「白石いぃぃぃぃっ!!」
怒鳴りながら部屋に入ってきたのは噂の青山先輩だった。
「あれ?佐助くん、戻ってきたの?」
シラッと白石先輩は笑う。

「真の敵は貴様か、白石っっっ!」
青山先輩は怒っている。
「ん?俺、何か言ったかな?」
白石先輩はキョトンとした顔で青山先輩を見る。
「くっ…。」
「俺はただ、佐助はそんな邪まな気持ちで優一くんを見たりしないよ、って言いたかっただけなんだけど。」
「ぅぐ…。」
「だって、君、そのテのことに興味無いでしょう?」

青山先輩は無言になってしまった。

すごい、白石先輩が青山先輩を黙らせた。

「っ、あ、あたっ当り前だ…っ。」
「でしょ、君はただ優一くんのことを『先輩として』心配してただけだよね。」
「あ、ああ。」

「そっかー…佐助にとって優一は大事なただの『後輩』だもんね!」
念押しするように、黄河先輩が言う。

その言葉で青山先輩がまた無言になる。
僕はこのわけのわからない重苦しい雰囲気をどうにかしたいと、青山先輩に声をかけた。

「あの、どうされたんですか?」
僕の言葉に青山先輩がハッと気がついたように持っていたマグカップをぐいっと僕の方へ出した。
中には良いにおいのスープが入っている。
「…わかめスープ?」
僕の問いに青山先輩が「ああ。」と、短く答える。
「えと…。」
「飲め。」
「え…。」
「飲め。」
ぐぐいっと差し出され、受け取る。
コクりと一口飲むと、胡椒の聞いたスープに微かに生姜の香りが混ざる。
「…おいしい。」
呟くと、青山先輩がふっと優しい顔で笑った。

普段ムスッとしてばかりの人間がときたま笑うと妙に迫力があることをこの時僕は知った。
「全部飲め。栄養は保障する。」
「あ、はい。」

そして、静かな時間が流れた

・・・

・・・・のは、一瞬だった。

「って、うぉいコラ!随分お優しーことしてんじゃねぇか、このむっつりブルーさんよぉ?」
赤井がチンピラのごとく絡む。青山先輩は視線を合わせることも無く冷静な顔で対処する。

「俺もたまご粥作るー!」
「あら、風邪のときはやっぱり桃缶にきまってるでしょ?」
「あ、あんたらも抜け駆けすんなっての、風邪のときは擦り降ろし林檎に決まってるだろうが!」
ものすごい勢いで黄河先輩、桃川さん、赤井が部屋を出てった。


「あーぁ。今日の勝者は佐助くんかな。」
白石先輩がポツリと呟いた。