小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

魔導装甲アレン3-逆襲の紅き煌帝-

INDEX|44ページ/51ページ|

次のページ前のページ
 

 アダムが囁いた瞬間、低空から1000の鬼械兵が突如現れ降ってきた。ついに火星から鬼械兵が投入されはじめたのだ。
 瞬時に判断したルオは空に向かって斬撃で衝撃波を放った。空中でいくつかの鬼械兵が爆発したが、全体に対しては微々たるものだ。
 アレンは〈レヴィアタン〉の頭部を指差してルオに話しかける。
「おまえの剣であれ停止させろよ、そういう機能ついてんだろ。あれ倒せば鬼械兵が降ってこなくなる!」
「簡単に言ってくれるな」
 クーロンの街を囲むほどの巨体だ。人の子などゴミほどの大きさでしかない。
 〈レヴィアタン〉の頭部が地中に潜った。
「おまえがとろいから逃げられたじゃねーか!」
「朕のせいにするな!」
 2人が言い合っている間にも、新たな鬼械兵は地上に降り立ち、人間を虐殺しはじめている。2人の周りも例外ではない。無数の鬼械兵が群がっていた。
 ルオが〈黒の剣〉を薙ぐ。
 刹那にして破壊される鬼械兵ども。
 アレンも鬼械兵と戦いたかったが一対多数はアレンに分が悪い。
 鬼械兵が石触手に串刺しにされた。リリスだ。アレンの元にリリスとジェスリーがやってきた。さらにジェスリーが持っているのは――、
「アレンさん受け取ってください!」
 〈ピナカ〉が投げられ、アレンはキャッチした。
「サンキュ」
 お礼と同時に〈ピナカ〉は放たれていた。
 3つの輝く矢が鬼械兵を撃ち抜き、さらに巨大な3つ叉の槍となって薙ぎ倒す。
 しかし、再び低空から1000の鬼械兵が降ってくる。
 追い詰められた状況。
 リリスがごちる。
「〈インドラ〉を犠牲にしたのは失敗じゃったかのぉ」
 たしかに〈インドラ〉の魔導砲があれば、地上を一掃する攻撃ができた。
 だが、すぐにジェスリーがフォローする。
「しかし〈ベヒモス〉に唯一対抗できたのは〈インドラ〉です。〈ベヒモス〉をあのとき停止に追い込んでいなければ、戦況は今より酷い状況に陥っていたと思われます」
 それ市内は敵味方入り乱れている状況だ。無差別攻撃の〈インドラ〉の魔導砲は使用できなかっただろう。
「片っ端から片づけりゃいいんだろ!」
 アレンは〈ピナカ〉を放った。
「朕の辞書に敗北はない」
 ルオは〈黒の剣〉を薙いだ。
 鬼械兵の数はまったく減ったように見えない。
 それでもアレンとルオは戦い続ける。

 サブマシンガンに取り付けられていたライトで闇を照らす。
 トッシュは停電している〈ベヒモス〉内に侵入していた。鬼械兵の姿はない。しんと静まり返っていた。
 だが、警戒は怠らない。足音と気配を消しながら慎重に先へと進む。はっきり言って、今の装備では鬼械兵とのタイマンは避けたかった。
 サブマシンガン、バズーカ、〈レッドドラゴン〉。一撃で鬼械兵とやれるのはバズーカだが、1体に対して1発など戦闘には向かない。なおかつ、ここは屋内だ。
 外にいた鬼械兵は複数の兵士で取り囲み、サブマシンガンで蜂の巣にしてやっと一体倒すのがやっとだった。〈レッドドラゴン〉は鬼械兵の装甲を貫くことができたが、1発貫いてなにになるのだろうか。
 汗を垂らしながら歩き続けたトッシュは牢屋までやってきた。檻の中を照らすと、女が立っていた。
「アタクシのこと助けに来てくれたのかしら?」
「だれがおまえなんか」
 牢屋に入れられていたのはライザだった。
「艦が停止したお陰で、檻に流されていた電磁フィールドは消えたのだけれど、鉄格子はどうすることもできなくて困っていたのよね。早く助けて頂戴」
「だからだれがおまえなんか助けるか、裏切り者」
「だったらなんでこんな場所来たのよ?」
「シスターの嬢ちゃんを助けるために決まってんだろう」
 そうなのだ、トッシュたちはセレンの行方を知らないのだ。
「ああ、あの子ならアタクシが逃がしたわよ」
「はぁ!? どういうこった?」
「アタクシが本当に裏切ったと思ってるわけ?」
「俺様はなあ、一度もおまえのこと信用したことないぞ」
 苦笑するライザ。
「ったく、やんなっちゃうわ。人間様に使われる機械の下僕なんかになると思う? このアタクシが?」
 たしかにライザは他人に仕える玉じゃない。
「どうしてルオの下にはついてるんだ?」
「仕えているというより、あれアタクシの作品ね。せっかくだからだれも知らない秘密教えてあげましょうか? それと交換でアタクシはここから出すというので手を打たない?」
「聞いてから考える」
「それじゃ取り引きにならないでしょう。アタクシのとって置きよ」
「わかった出してやる」
 トッシュはバズーカを構えた。まだ撃たない。話を聞いてからだ。
 愉しそうな顔をするライザ。今まで見せたことのない無邪気な顔だ。
「じつはね……ルオってアタクシの弟なのよね。あははははっ」
「マジか?」
「ほら、早く出しなさいよ」
「マジかって聞いてるんだ」
「腹違いでも何でもない、前皇帝と正妻の間に生まれた子供よ、アタクシもルオも。けれど、女に生まれると損よね。皇族の血筋にアタクシの存在はなかったことにされてるわ。一般人扱いされることはなかったけれど、下級貴族の養女として育てられたわ」
 すっかり話を聞き入っているトッシュはバズーカを床に向けていた。
「それからどうなった?」
「本当はアタクシ自身もなにも知らず、そのまま下級貴族の娘として一生を終えるはずだったのだけれど、本当の母が一度だけお忍びでアタクシに会いに来たことがあるの。涙を流しながら何度も謝りながら、全部話してくれたわ。正直腹が立ったのよね、こいつもアタクシを捨てたひとりには違いないわけじゃない?」
「ひねくれてるぞ」
「仕方ないじゃない。養女になった家にはすでに養父母の本当の娘がいて、しかもアタクシの下に弟まで産んでくれちゃって、アタクシは家政婦じゃないっての。それでね、家を出るために血の滲む猛勉強したわ。男と同じくらい勉強できても、女のほうが下に見られるから、男どもが足下に及ばないくらいの地位と権力を手に入れるために、本当に必死だったわ。でもまさかルオの傍に仕えられるくらい出世できるなんて思ってなかったけれど」
「本当はルオに復讐とか考えてるのか?」
「さあ、どうかしらん」
 おどけてライザは笑って見せた。
 そして、後ろ向きに歩きながら牢屋の奥へ進んだ。
「アタクシの話はこれくらいにして、さっさと出して頂戴。早漏も嫌われるけれど、遅漏も嫌われるわよ」
「関係ないだろ、その話は!」
 トッシュはバズーカを撃った。
 鉄格子の何本かが折れ、周りの格子はひしゃげた。
 ライザが牢屋の中から出てくる。
「そうだ、シスターの話もついでにしてあげましょうか?」
「そっちが本題だ。どこにいるんだ?」
 話が戻された。
「彼の話だと第零メカトピア」
「どこだそれ? その彼ってどんな奴だ?」
「ワーズワースよ」
「……奴が死んだって知ってるか?」
 少し哀しげな顔をトッシュはしていた。その顔とライザは顔を合わせない。
「ええ、彼の役目はアタクシが引き継いだから問題ないわ」
「ん?」