小説が読める！投稿できる！小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ！

　開いたドアの前に、山口が両腕を前にした状態で立っていた……。

　山口の両腕の手のひらは、青く少し光っていた。彼は、ターボリフトのドアが開いたことを確認すると、自分の両腕を降ろした。少し光っていた両腕の手のひらは、両腕を降ろしたと同時に光を失った。
　先ほど言った山口の特殊能力とは、「魔力を溜めこみ、何か注入することができる」というものであった。武器やコンピューターに魔力を注ぎ込むことにより、強い武器にしたり、自分の思うように機械を操作できるというわけだ。彼の両腕の手のひらで光っていたのが魔力だ。

　山口はそのまま、何事も無いかのごとく、まだしりもちをついている佐世保がいるターボリフトに乗り込む……。

「ちょっと山口さん！　艦内で許可無く魔術を使わないでください！」

　しりもちをついていた女は立ち上がりながら、山口に怒鳴る。一応のルールとしては、事故防止のため、艦内での魔術の使用は禁止されていた……。

　ターボリフトに乗り込んできたのは、山口だった……。彼は半笑いで、
「ごめんごめん。急いでたんだ」
と、あまり誠意がない謝罪をした……。
　山口は、ターボリフトのドアを、今度はちゃんと音声入力で閉めた。ドアは少しきしんだ音を立てながら閉まった。彼は、このターボリフトがブリッジに向かうということを確認すると、ターボリフト内の壁にもたれかかった。２人を乗せたターボリフトは、再びブリッジに向かって動き出す。

「また壊れたらどうするんです！？　最近、任務が無くて、あまり資金が手に入らないのに……」
佐世保が山口に言い寄る。
「その時はその時に考えればいい！」
「……ああそうですか！　とても計画的ですね！」
これ以上言っても無駄だと思った彼女は、そう言い放つと黙った。彼のほうも、それ以上は何も言わずにいた。

　しばらくの気まずい沈黙の後、ターボリフトは静かに停止した。ターボリフトのドアの上にある小型ディスプレイには、「ブリッジ」と表示されている。正常な電子音とともにドアが開く。