小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

CROSS 第1話 『特殊部隊『CROSS』』

INDEX|3ページ/8ページ|

次のページ前のページ
 


 この艦の食堂は、一度に数十人が食事を取れるぐらいの広さで、小さなカウンター式のバーもあった。揺れ対策のため、テーブルは固定されていたが、落ち着けるデザインのものになっていた。
 山口の他に食堂にいる客は、当直明けの眠そうな隊員が数人いるぐらいであった。彼らは、それぞれ自分好みの食事を取っている。ちなみに、バーには誰もいなかった。

 山口は、壁に埋め込まれているドリンクメーカーから、カップ式のホットコーヒーを手にすると、近くのイスに腰掛ける。目の前のテーブルの上には、食堂備え付けのニュース雑誌が置いてあった。

『軍高官Sが予想する、未知のモンスターの所属先とは?』
『幻想共和国の対ニュートロンジャマー魔法の実験の成功は脅威だ!!!』

その雑誌の表紙には、新聞よりも強い感情に訴えかける見出しが踊っている。
 山口はコーヒーをすすりながら、その雑誌を手にする。たいていの人間と同じく、彼も見出しにひかれてしまったようだ。

「山口さん!!! 今すぐブリッジに来てください!!!」

 雑誌のページを開こうとしたそのとき、食堂のスピーカーが大音量の声を発した……。山口だけでなく、食堂にいた全員が、寿命が大幅に縮むぐらい驚いた……。
「クソ」
山口は悪態をつくと、雑誌をテーブルに置いた。それからすぐに、コーヒーを飲み干すと、食堂から出ていった。まだ食堂にいる隊員たちは、苦笑いで彼を見送るしかなかった。



 そのころ、あるターボリフトの中では、目的地への到着を待っている女性がいた。うんざりした表情から、彼女もこれから仕事のようだ。
 彼女の名前は佐世保で、年齢は20代前半である。肩までの長さの黒髪で、顔や外見のレベルは中の上といったところだ。拳銃ではなく、2本のコンバットナイフを装備していた。彼女はナイフ使いなのだ。彼女の階級は中尉である。

   ギギギギガガガガガッ!!!

 突然、ターボリフトのどこからか、いかにもやばそうな異音が鳴り始める……。
「!?」
驚いたのも束の間、何の前触れも無く、ターボリフトは急停止し、少しずつ戻り始めている。急停止の衝撃で、佐世保は一瞬転びかけた。
「なになに!?」
彼女は、突然の出来事にオロオロするしかなかった。
 すると、また急停止し、今度は転んでしまった。彼女は無様にも、その場にしりもちをついてしまう……。

 そのとき、ターボリフトのドアが、変な音を立てながら開いた。