獏の見る夢
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百万で馬鹿みたいに豪遊した。若くて綺麗な女をはべらせ、味もよく分からないような高い酒を飲む。金のある俺の所に、美女はバカ丸出しで寄り添ってくる。最高だ! なんて気分がいいものか!
金! 金さえあればイイ女を抱ける! 金! 金さえあれば誰もが俺に屈する!
もっと、もっと、もっと欲しい! もっと、もっと、もっと必要だ!
―――――夢を 食 べ な け れ ば。
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百万を綺麗さっぱり使い果たした後、俺は事務所へと戻った。
簡易ベッドに横になり、目を閉じる。
酒が心も体もほぐしてくれた気がする。衣服に染みついた女達の香りがふいに鼻腔をくすぐり、思わずほくそえんだ。
幸せ、幸福、絶頂。
そんな言葉が脳裏をかすめる。
俺はもう底辺の人間じゃ無い。
安堵の中、意識は眠りへと落ちていく――――