獏の見る夢
少女は見知らぬ男に馬乗りになられながら、顔をボコボコに殴られていた。そして男は自分の物を何の前触れもなく少女に突き立てた。膣が裂け、痛みが走る。恐怖で少女は瞬きさえ出来ない。あれは……あれは俺の夢だ! 俺が受け継いだ……俺が百万と引き換えにした……。
「や、やめ、ろ……!」
必死に声を絞り出して少女の方へと這いずる。手を伸ばし、助けようとする。
少女の首がふいにガクンっと力を失い、こちらを向いた。赤い唇が動き始める。
「無駄よ。私達はもう逃れられないんだから。この‘現実’から」
なぜだ!? なぜ……! なぜ……!
「私たちはね、殉教者なの」
腹の上で蠢く男を正面から見据えたまま、少女はそう口にした。