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おじやしげき
おじやしげき
novelistID. 607
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ある夜に

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星が好きだ。といっても、望遠鏡を覗いたりとか、展望台まで足を運ぶと言うことは無い。
自分の家の屋根に上り、ぼんやりと星を眺める。それが僕の幸せな時間だった。
「おにいちゃ〜ん? また屋根にいるの?」
「……なんだ、由貴か」
妹の由貴が居間から声を掛ける。
「なんだ、は無いでしょ〜? さっきからず〜っとお兄ちゃん呼んでたのに!」
「ごめんごめん。で、何?」
「も〜っ! お兄ちゃん忘れちゃったの? 約束!」
約束か。そんなのしたような気もする。が、そんな事はどうでも良かった。
僕はただただ星を眺めていたかった。一人になりたかったんだ。
「んしょっ……と」
……一人にはさせてくれないみたいだ。たまには空気読んでくれよ……
「お兄ちゃん♪ 見〜つけた!」
何時も僕を振り回してた由貴だったが、今はそっとして欲しかった。
「お兄ちゃん?」
うるさい。ほっといてくれ。
「お兄ちゃんってば!」
だまれ。
「ねえ、お兄ちゃん!」
「黙れよ!」
気がつくと怒鳴ってた。僕のことを何もわかってくれない癖に構ってくるのが……
「だって、お兄ちゃ……」
「うるさい! 僕の気持ちもわからない癖に!」
「そ、そんなこと……」

由貴は僕の気持ちをわかってくれない。いや、わかるはずが無い。だって、由貴は……
「おやじの作ったロボットが人間の気持ちを理解できる訳ないだろ」
ぼくの妹、有希は2年前、交通事故で死んだ。その時、(事象)発明家だった父が、今の由貴を作ったんだ。
学校でも『付き合ってるんじゃねぇ?』とまで仲が良かった兄妹だったから、僕が寂しくなると思ったんだろう。
でも、ぼくの妹は有希だけだ。由貴はロボットでしか無い。そんなものには興味が無いんだ。
「もうお兄ちゃんなんて言わないでくれ。お前はただの物なんだよ!」
気がついたら肩で息をしていた。もう、何でもいいから目の前から消えてくれ……
「ねえ?お兄ちゃん?」
マダいたのか。お前と話すことなんてもう無いんだが……。
あの有希はもういない。どうしようも無い事実だ。もう……
由貴が何か突きつけてくる。これは……?
「有希お姉ちゃん、好きだったんでしょ? 屋根の上でお兄ちゃんのギター聞くの。私も聞きたいな☆」
ギター……か。有希にはよく聞かせていたギターだが、有希が死んでから全く弾かなくなった。おそらく押し入れから引きずり出してきたんだろう、
作品名:ある夜に 作家名:おじやしげき