ひめごと
「誰にも内緒にしましょうね」
彼女はよく楽し気にそう言った。そのたびに、いわれずともこんな関係を他人に知られるわけにはいかないと、私は返した。それでも彼女はよくそう言った。
「誰にも内緒、とくに可奈子には絶対言えないわね」
「ねえ、だって可奈子の大事な後輩とこんなことしてるって知られたら、私可奈子にころされちゃうわ」
「二人だけの秘密よ。私達、共犯よ?」
そんなことは全て、言われずともわかっていたことだ。
そしてそれをやぶるのは、やぶりたいという欲求を持っていたのは、あのひとの方だ。