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ひめごと

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 このひとは、この手の話題には深読みしすぎなんじゃなかろうか。そう思いながらもいい加減自分ばかり服をはだけているというのも嫌だったので、するなら続けようと提案してみた。

 「でもやっぱり下はいやですから。さわられるよりはさわる方がいい」
 「え・・・私だってさわりたい」

 自分で服を脱ぎながらあのひとがそういうので、つい可愛くなる。

 「じゃあちょっとだけ」
 「ちょっとって」
 「少し」

 制服の下から現れた彼女の肌がなめらかそうな艶を放っている。さっと二の腕辺りに指を滑らせるとさらさらとしていて、とても触り心地がよかったので気にいって抱きついた。

 「どうする?」
 「どうしたらいいですか?」

 彼女が楽し気に聞くので正直に尋ね返してみる。本当に、私にはなにをどうしたらいいのかわからないのだから、彼女にきくしかない。

 「言ってくれたらその通りします」

 下から覗き込むようにして言ってみる。これは本音だけれど、でも少しいやらしい響きがあることにも気づいている。でもそういう意識を表情には出さないようにきをつける。性的な知識の乏しい、標準以上に無垢な後輩というふうに見えるように。別に本当にそう思われなくてもいい。今だけ彼女がこの芝居にのってくれれば充分だ。

 「私が、どうしてほしいって、いうの?」

 あのひとは明らかに困った顔をした。ちいさく、なんか恥ずかしいプレイみたいだわ、と呟いたのを聞き漏らさず、でもその意味はわからなかったふりをした。

作品名:ひめごと 作家名:蜜虫