ナイトヴァーミリオン
ストレンジアらしい、色彩の鮮やかな目――ナテルは橙色をしている――を神妙に細めるナテルに、「いるか?」と聞くと、思いっきり足を踏まれた。
(別に、子供扱いしたわけじゃあないんだけどな)
やれやれと、取り出したあめ玉をポケットにしまう。
「ふん。感傷に浸るのも、そこそこにしておけ。仕事に支障をきたしては困る」
「ご心配には及びません、ナテル先輩。むしろ、心配なのは先輩の方だ」
「なんだと?」
丸い頬を膨らませ、振り返るナテルに祈はにっと笑って返す。
二つのジョッキが描かれている看板。つまりは酒場を、指し示した。
「未成年は、おことわり。ってね」
冗談めかして言うと、思いっきり、向こう臑を蹴られた。
作品名:ナイトヴァーミリオン 作家名:南河紅狼