あいつら役に立たないから。
いきなり家に来て、超重要な話を緊張感ないまま、シュールな光景で淡々としたこいつが悪い。そう思うことにした。
「いいよ。俺に出来る範囲であれば極力協力するよ。世界に滅亡されたら困るし」
「おお!本当ですか!!誠にありがとうございます」
これまた声のトーンに対しあまり喜びを感じない様子で悪魔が謝辞を述べた。
「あ、最後に一個質問良いかな」
「なんなりと」
話を聞いてる最中にずっと気にはなっていたのだが、話の骨子には関係ないかと思いしまい込んでいた疑問をぶつける。
「世界の危機だから、世の中のためになんかしなきゃいけないんだろう?」
「ええ」
「神様はなにをやってんの?」
「彼らは天界で日々戦争に明け暮れていますよ」
憎らしいほどに淡々と話す悪魔。
人間のイメージ通りの神様が戦争に明け暮れている間に悪魔が世界を救おうと動いている。最高に笑えなさ過ぎる笑い話だ。
ちなみにその次に笑えなかったのは、最高の風刺に引きつった笑顔を浮かべる俺に悪魔が悪意なしに言った一言だ。
「心中お察しします」
苦笑いを堪えきれず俺は答えた。
「それ、ギャグ?」
まぁ、とにかくこれが事の顛末。そんなんこんなでこの日から、俺はちょっぴり世界を救ってみることになった。
作品名:あいつら役に立たないから。 作家名:武倉悠樹