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Awtew.2 (e-r) 1

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 これは――――ひと、なのだろうか?
 時間が経つことだけが分かる。長い、短いが分からない。いや、分かったら、たぶん、この感覚は消え去るだろう。
 それだけ、この想いは儚かった。
 そして、その時間は壊れた。
「あ、あの」
 体の緊張は原因である彼女の声で解かれた。僕は慌てて今の状態を確認する。
 抱いていた。
 僕が、彼女を。
 彼女の息、体温、鼓動、それらがダイレクトに僕に伝わってくる。
「う、うおっ」
 驚いて彼女の肩を掴み、体を離す。
「わわっ」
 彼女はバランスを崩し、また倒れかける。僕は、彼女の手の辺りに歩行補助具を近づけさせる。彼女は必死にそれに掴まり、体のバランスを整える……というよりも寄りかかる。
「いや、その、これは、不可抗力というもので、別に何も……」
 情けない言い訳をする僕。女の子は動かない。また、静寂。
 ああ、いきなり嫌われたな、僕。などと諦めに近い考えが巡った。
「あ、あの、……ありがとう」
 しかし、彼女から発せられた言は、感謝だった。
「え? あ、いや、どういたしまして」
 予想外。何も言わず立ち去ると思っていたのに、彼女は僕に感謝している。
「恥ずかしいところ助けていただいて、感謝します。お礼をしたいんですけど、時間は空いてます?」
 その口調は最初とまるで別人だった。いや、こちらが『彼女』なのかも知れない。
 取り合えず、僕は時間があることを伝えるのに、神経の70%を消費した。


作品名:Awtew.2 (e-r) 1 作家名:犬ガオ