Awtew.2 (e-r) 1
ケイの声にセイが答える。セイはブルーバックスを読みながら、座っているサクラの襟を掴み、引きずっていった。
「ちょ、離してよぅ、いやだぁぁ――、聞きたいぃぃ〜〜〜!!」
見事な連携プレイ。相変わらず仲がいい。
「で、実際の所、どうなんだ」
はぁ、こいつには敵わない、か。
「……好きな人といられるのって、やっぱり幸せか?」
「やっぱり、コイバナか」
「いや、恋、だったら良いんだけどな」
そう、これは既に恋と呼べるのかが疑問だ。
知ろうとはしない、解ろうとはしない、だけど、一緒にいたいなんて、矛盾にも似た、よく分からない思考回路。
「そうだな」
ケイは少し考えてから、口を開いた。
「最初のうちは、それだけで幸せだ。だけど、後々それでは足りなくなる」
「足りなくなる?」
「ああ、足りなくなる」
「じゃあ、例えばどんなことで埋めるんだ? その、足りない部分」
「……今、ここで言わす気か?」
「……あ、そういうことね。じゃあお前、もうサクラと」
「まあ、そういうことだ。お前の好きな奴がどういう子か知らないが、その子を求めるのはとても自然なことだと思うぞ」
「お見通し、ってヤツ?」
「昔から、相談役は慣れているからな。あいつらのお陰で」
ケイは後ろで口論している二人を親指で指す。ああ、なるほどな、と僕は納得した。
だけど、求めすぎて壊れた関係を、戻すことは、出来るのだろうか。
作品名:Awtew.2 (e-r) 1 作家名:犬ガオ