Awtew.2 (e-r) 1
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彼が帰った。
そして、終わりが近づいているのを感じた。
ボクは、もう、歩けない。
さっき立ち上がろうとしたとき、既に足が動かなかった。まるで、神経回路を切られたような、感覚。
――――切られたというよりも、食われた、が近いかな。いつも、そうだったし。
ついにここまできてしまった。次は、手かもしれないし、もしかしたら――――
やっぱり、ボクには、人を想う資格はないんだ。
想った人を悲しませるこの身体には、そんな資格はないんだ。
さよならを言おう。彼を悲しませないために。
そして忘れよう。ボクを守るために。
箱庭には、――ボク一人居ればいいから。
最初から――独りだったのだから。
そう、前に戻るだけ。
作品名:Awtew.2 (e-r) 1 作家名:犬ガオ