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Awtew.2 (e-r) 1

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 でも、歩香はその道具で描かれた絵を拒否するようにそう言った。
「今と未来?」
「描き直すって言うことがすでに描いたときよりも未来に起こることですよね?」
「そういえばそうだけど」
「私は、今、そこにいるセキ君を描きたいんです。だったら、この一回の描線は全て今なんです」
「構図が全然違っても?」
「『見るだけ』で描かれるのはセキ君にも失礼かな、と思ったんですけど、迷惑でしたか?」
 スケッチブックから半分顔を出して、歩香は僕を見る。つまり、これはとても心を込めて描いてくれていると解釈していいのだろうか? そうだったら、
「いや、すごく嬉しいよ」
 僕は本心をそのまま言った。
「よかった」
 微笑んでから、彼女は再び描き始めた。
 今日の絵の中の僕は、ベッドの上に腰を掛けて、笑っていた。
 その後、僕が剥いたリンゴを一緒に食べる。中に蜜が詰まった果実は梨とは違った濃厚な甘みを口の中に残した。
「お腹、いっぱいじゃなかったの?」
「まだお腹に入るものですよ、これが」
 笑いつつ、歩香はまたリンゴをほおばった。


作品名:Awtew.2 (e-r) 1 作家名:犬ガオ