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モノガミものぽらいず

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「……暖まったか?」
 アパートに帰り、風呂から上がったハクビに、俺は緑茶を差し出した。もどかしい手紙のやりとりは、もう必要ない。
「……ごめんな? おらが先に入っちまって……秋月も濡れて冷えてるだのに……」
 ばつが悪そうに、俺の傍に座るハクビ。
 今ハクビは、着物姿ではなく、フリーサイズのTシャツ一枚という姿だ。着物姿も好物だが、これはこれでいい。実に新鮮だ。
「……あ〜、またえっちな事考えてるだなぁ?」
 怒ったように、しかし冗談っぽくハクビがそんな事を言う。
「俺は覚悟を決めたんだよ。だから、お前の前じゃかっこつけたりしない。悪いか?」
「……わ、悪いコトないだよ……で、でも、は、早く秋月も風呂さ入るだぁ……風邪ひいてしまうべさ〜」
 視線を逸らすように正面を見据えて、空々しくハクビがそんな事を言う。
 しかし、言葉通りにそうするワケにはいかない。まだ言ってない、言わなきゃならない言葉があるから。
 だから俺は――
 ハクビの両肩を掴んで正面を向かせる。驚きで、ハクビの両耳がぴんと張った。
 視線は合わせたままで、外せなくなった様子のハクビ。その顔に向けて――
「ハクビ、俺! 俺はお前と――」
「はっ、はい!」

 ――そこまでが、限界だった。

 俺の意識が急に遠退く。

 いや、さっきからおかしいな、とは思ってたんだ。俺自身、照れてるのは重々承知だったし、それでホッペタが熱いんじゃないかと。でもな? それだけで寒気はしないだろ〜。
 ぶっちゃけて言うと、俺は熱出してぶっ倒れているワケだ。もーアタマんなかぐるんぐるん。久しぶりだねぇ、こんな発熱。ちくしょ〜、くやしいぜ。せっかく、バシッと決まるセリフ用意してたってのによ〜……
 とかなんとか、朦朧とした意識のハザマで考えていた俺の耳に――
「……おら、ずっと秋月の傍さいるだからな? だから――」
 ――そんな言葉が届いた気がした。

 そして、

 ふと唇に感じた、

 柔らかな感触があった。