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モノガミものぽらいず

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エピローグ 2



 六年後。
 在学中に司法試験に合格した俺は、先日、修行がてら世話になっていた弁護士事務所から独立し、懐かしのばっちゃんの郷に移り住んだ。
 近年、この近辺をダムにするとかで、賛成派と反対派が一触即発の状態になっている。ダム建設の利権で潤うヤツラはまだいいさ。でも、ただ追い出される連中はどうなる? 何より、この思い出の土地が水没するなんて、誰より俺が許さない。
 ってワケで、俺は反対派の顧問弁護士を買って出た。もちろん無償で。
「秋月〜〜〜……」
 水没予定の土地を見回っている俺の後ろから、情けな〜い声がかかる。
 俺は背後を振り向いて驚いた。
 そこには、ヘロヘロになったハクビの姿があった。
 この六年間、ハクビは仕事の時以外、片時も俺の傍を離れた事がない。
 俺はハクビを愛したし、ハクビも俺を愛してくれた。もう、俺たちは互いが居ないことに耐えられない。
「お前! 事務所にいろって言ったのに!」
 俺は車で巡ってるってのに、コイツはそれを追って走ってきたらしい。
「だってぇ、秋月が心配だから……それに」
 怒られた子犬のように、耳を伏せるハクビ。
「それに?」
 訊き返す俺の目に、

 ハクビの満面の笑顔が飛び込んできた。

「おら、また秋月と一緒に、この郷で散歩がしたいだよ〜」

 思わず、思い出の中のハクビと、その笑顔が重なっていた。

 これから、俺はこの土地で生きていく。

 ハクビと共に、俺の大切なもの全てを、護るために。

                   (了)